知的財産ニュース 韓国特許庁長、第56回WIPO総会に出席

2016年10月5日
出所: 韓国特許庁

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チェ・ドンギュ特許庁長は10月3日(月)からスイスのジュネーブで開催中の第56次世界知的所有権機関(WIPO;World Intellectual Property Organization) 1] 加盟国総会(10.3.~10.11.)に出席し、第4次産業革命時代の到来による知的財産権の環境変化に対応するためのキーワードを提示するとともに国際社会の協力を呼び掛ける。

WIPOは知的財産権を扱う国連傘下の専門機関であり、今回の総会は世界189の加盟国の特許庁長等各国の代表が出席し、知財制度の改善等の懸案について議論を行う予定だ。

チェ庁長はWIPO総会初日の3日、代表演説を通じて「人工知能、ビッグデータの発展等第4次産業革命が知的財産権制度の発展のカギになるだろう」とし、「知的財産権が革新を促進させ技術発展に貢献できるよう、WIPOレベルで知財権の生態系を強化する案について踏み込んだ議論をする必要がある」と強調した。これにより、WIPO内でも知的財産権制度の発展に対する議論が活発に行われるものとみられる。また、チェ庁長は不良特許の防止、権利の早期確定に向けた特許法の改正等、韓国の政策を紹介し加盟国の注目を集めた。

チェ庁長は総会の期間中、韓日特許庁長会談の開催や韓国-ポーランド特許審査ハイウェー(PPH:Patent Prosecution Highway) 2] に関する了解覚書の締結等、主要国との協力を強化する一方、米国や英国等先進国特許庁間会合(Bプラスグループ全体会議) 3] に出席し、特許制度の調和や審査協力の拡大等について意見交換をする等、知財権外交を積極的に展開する予定だ。

特許庁のイム・ヒョンソク多国間機構チーム長は「今回のWIPO総会への出席は、世界4位の知財権創出国としての韓国のステータスを強化し、知財権のグローバル・スタンダードの形成に寄与することにより、国内外における韓国企業の競争力を強化するきっかけになるだろう」と話した。


注記

1] WIPOは国連傘下の16の専門機関の一つで、知的財産分野全般を総括する国際機関である。WIPO加盟国の総会は189の加盟国の特許庁長らが出席して特許制度の調和や開発途上国に対する技術支援等、知的財産に関する主な国際懸案について議論する場であって、毎年9月~10月中にWIPO本部が位置したスイス・ジュネーブで開催される。

2] 特許審査ハイウェイ(PPH)は、両国に出願された同一の発明に対し、一方の特許庁が先に特許可能という判断を下せば、出願人がもう一方の特許庁に優先審査を申請できるようにした制度であり、PPHを活用すれば、発明の早期権利化が可能となる。

3] WIPO内に米国、英国、ドイツ、日本等先進国グループ(Bグループ)と韓国等の主要国と国際機関が参加し、特許制度の調和等知的財産権の主要懸案について議論する会合である。2016年8月現在、45カ国・機構が会員で、WIPO及びシンガポールはオブザーバーとして参加している。

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