知的財産ニュース 偽物防止に向けた化粧品業界の取組

2016年11月18日
出所: デジタルタイムズ

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LG生活健康の漢方化粧品「后」の拱辰享 (ゴンジンヒャン) 気&津クリーム


LG生活健康の「su:m37」のシークレット プログラミングアイクリーム

偽造品問題で頭を抱えている化粧品業界が、化粧品の正規品認証技術を相次いで導入している。中国を中心としたK-ビューティーブームに伴い、現地の消費者を狙った偽物の化粧品を製造する業者が急増しているためだ。業界は、先端技術を活用して正規品の認証方法を高度化し、最初から偽化粧品を作ることができないよう製品を繊細にデザインする等、対応に当たっている。

国内の偽造品の摘発件数は毎年増加している。韓国特許庁によると、過去5年間、偽造品の摘発件数は2010年2万8,000件から、2012年13万件、2013年82万件等、6倍以上増えており、2014年には111万件となり、初めて100万件を超えた。特に、昨年1-7月までの偽造品の摘発件数は113万件で、前年の摘発件数を上回った。

その中でも特に化粧品で偽造品が多く発見された。同期間、特許庁が押収した物品のうち、化粧品ブランド「ヘラ」と「リーダースインソルーション」の商品は、それぞれ2番目、3番目で押収物品の数が多かった。

偽化粧品は、正規品より成分や機能が劣っており、ブランドイメージを失墜させる恐れがあるため、化粧品業界にとっては大きなリスクとなる。特に、オンラインショッピングが活性化している今日、消費者は商品が本物か否かをきちんと検証しないまま簡単に購買する場合が多い。業界は、タグやバーコード等を活用して正規品認証を導入したり、電子商取引会社との知財権関連協力を強化したり、化粧品のデザインを工夫する等して偽物防止に取り組んでいる。

アモーレパシフィックは、モバイルアプリを活用して正規品を確認できるようテスト運営中である。「アモーレパシフィック正規品確認」アプリを開き、商品に付着されているバーコードをカメラで3-5秒間読み取ることで、正規品か否かを把握できる方法である。同社は、今年の初め頃デジワークとソリューションの供給契約を結び、正規品・偽造品の区別が可能なデジタルコーディングソリューションを導入し、このサービスを提供している。

オンラインショッピングの際、偽造品を購入するリスクが大きいだけに、電子商取引会社との協力も強化している。今年1月、アリババと知的財産権保護に関する業務協定(MOU)を締結して偽造品の取り締まりに拍車をかけており、中国法人に偽造品対応チームを設置し徹底した対応に当たっている。国内でも、今年6月に11番街との間で同じ内容のMOUを結び、協力体制を構築した。2008年から偽造品補償制度を運営中の11番街の知的財産権保護センターを通じて常時集中モニタリングをしながら物品を検証している。

LG生活健康は、人気ブランドである「后」や「sum37」等の高級ラインを中心に商品容器のデザインを工夫し、簡単に真似できないようにしている。后の場合、複数回にわたる工程を経て、模倣しにくい曲線のデザインにした。また、商品のふたの「蓮の花」部分を繊細に彫刻して模倣し難くした。sum37も簡単に真似できないように、容器のガラス部分とふたの金属装飾を精巧に仕上げた。

最近では、磁場を活用したラベルを付着することで正規品認証を高度化する事例も出ている。化粧品ブランドの「パニルラコ」と「シエルポ」は、ナノブリック社の偽造防止ソリューションである「エムテグ」を国内と中国に販売する商品に付着した。エムテグは磁場を加えることで本物を判定する自己色可変素材のラベルだが、商品に入っているミニ磁石を活用することで正規品を認証することができる。

パク・ミンヨン記者 ironlung@dt.co.kr

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