知的財産ニュース EVのコア技術、炭化ケイ素半導体の特許出願が増加傾向

2016年8月30日
出所: 韓国特許庁

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日本のトヨタ自動車のハイブリッド自動車である「プリウス」モデルは、炭化ケイ素(SiC)電力半導体を適用し、車の電力損失を80%減らし燃費を5%以上改善した。素材分野の競争力が製品の競争力に直接つながった事例だ。電気自動車、ハイブリッド自動車等電気・電子分野において、エネルギー効率を高めるコア素材である炭化ケイ素電力半導体技術が国内でも着実に開発されている。

特許庁によると、電気自動車、ハイブリッド自動車のエネルギー効率を改善できる炭化ケイ素(SiC)単結晶成長方法に関する出願件数は、過去10年間で計117件であり、2011年に急増してから緩やかな成長を続けている。

2006年4件、2007年10件、2008年10件、2009年12件、2010年9件が出願された。 2011年は22件、2012年9件、2013年23件等、二桁の件数で出願されている。

炭化ケイ素(SiC)半導体

  • 電力半導体は、電圧と電流を調節する半導体である。電力半導体は電気自動車、鉄道等電力消費が多い多様な機器に使用される。電気自動車の電力を効率的に管理できる電気自動車のコア技術となる。
  • 現在、電力用半導体素子はシリコン(ケイ素)半導体が大半を占めている。シリコン半導体に比べ、電力を減らし熱の発生も少ない炭化ケイ素(SiC)電力半導体は、電気自動車等で約5%以上の燃費削減効果等エネルギー効率も高い。高温・高圧に耐えなければならない電力半導体や工程装備部品としての長所が多い。

炭化ケイ素(SiC)単結晶成長方法の出願動向を見ると、昇華法59.0%(69件)、高温気相蒸着法7.7%(9件)、溶液成長法33.3%(39件)となっており、商業化初期から広範囲に使われている昇華法が過半数以上を占めている。

昇華法は、高い成長温度による炭化ケイ素(SiC)結晶欠陥制御の困難から停滞している。溶液成長法は、比較的低い温度(2100℃以下)で欠陥が著しく減少した高純度・高品質の単結晶を製造できるという長所から2013年から急激に増加している。

国別では、韓国(64件、54.7%)と日本(48件、41.0%)がこの10年(2006~2015)間、主流となっている。多出願の順位は、ポスコグループ(21件)、トヨタ自動車(20件、新日鉄住金との共同出願8件を含む)、東義大学(13件)、SKイノベーション(8件)等の順となる。

韓国人の出願は「超高純度炭化ケイ素(SiC)素材事業団」の1段階が始まった2010年以降から増加しており、この時から累積件数で外国人出願を超えた。

特許庁のバン・ヨンビョン精密化学審査課長は「超高純度のSiC材料は、難易度の高い技術を求めるが、半導体産業を一段と成長させるためには、必ず確保しなければならない源泉素材技術である。今後電気自動車/太陽光用エネルギー素子及び高純度の半導体部品分野を取り込むためには、特化した独自の技術はもちろん、知的財産権の確保にも関心を持つ必要がある」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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