知的財産ニュース 特許庁、海外における商標先取りに注意喚起

2016年6月17日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、近年海外で現地人による商標の先取りによる被害が相次いでいることを受け、国内外で活動中の企業に「海外における商標無断登録への注意及び被害予防」を呼びかけた。

特許庁は今年5月現在まで、海外で他人に先取りされた商標は1,000件を越えており、被害を受けた企業は600社余りに達すると明らかにした。

このような商標の先取りは、化粧品、食品、衣類、フランチャイズ等、産業の全分野にわたって現われており、特に近年韓国ドラマのブームの影響でドラマ協賛企業の被害も次々と報告されている。

さらに、海外での商標ブローカーによる先取り行為は、既存の個人レベルを超え、最近では企業レベルでの戦略的行為に進化しているとのことだ。

法人形態の子会社を設立して先取り行為を隠したり、類似商標(結合商標)及び他の商品に出願する等、ポートフォリオを多様化している他、現地で代理人を雇用して法律的事項に積極的に対処する等、今後現地に進出する予定の韓国企業が現地で出願・対応できないよう完全に封じ込める戦略を取っている。

また、最近では先取りした商標を現地の商標取引サイトを通じて販売しており、一部韓国人も海外での商標先取り行為に係っているため、今後韓国企業の被害がさらに続くと予想されている。

特許庁は、韓国企業が国内で事業を展開する場合にも、海外進出を念頭に置いて商標戦略を用意する必要があると強調した。

海外進出時に先取りによる被害を予防するためには、進出する予定の国に他人が先に登録した自社の商標があるかどうかを確認し、ハングル商標だけでなく、英文、進出国の現地語の商標まで確保する必要があり、主力商品と関連のあるサービス業まで権利範囲を拡大することを呼びかけた。

特許庁のナム・ヨンテク産業財産保護支援課長は「商標を先取りされた場合、特許庁がK-ブランド保護コンサルティング、知財権訴訟保険等を通じて被害企業を支援しているが、多くの時間と費用を要するため、予め積極的に出願・登録に向けた努力を行う必要がある。特許庁は、韓国企業の被害を最小化するため、海外知識財産センター(IP-DESK)を通じた商標出願費用の支援の他にも、商標先取りの被害が発生している中国を始めとする各国との間で有名商標リストの交換、商標ブローカーに関する情報共有等、商標分野における協力を拡大して解決策を模索していくつもりだ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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