知的財産ニュース 特許庁、中小企業の特許強化に向けた取り組みを本格化

2016年2月4日
出所: 韓国特許庁

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最近国内外で特許紛争が増加し続けていることを受け、ビジネス現場における特許問題を解決しようと官民が動き始めた。特許庁と中小企業中央会は2月4日、中小企業中央会にて中小企業の知的財産競争力強化に向けた業務協約と締結し、業種別特許プールの構築等、9大課題を共同で推進することにした。

同課題は、去年10月22日開催された「中小企業知的財産競争力の強化に向けた官民政策討論会」での意見をまとめ選定したもので、今回の業務協約式では同課題の本格推進に向け共同タスクフォース(TF)の構成等について議論が行われた。この場には、チェ・ドンギュ特許庁長、パク・ソンテク中小企業中央会長、ノ・シチョン副会長を始め、政府・中小企業の代表等、約20人余りが出席した。

「9大中核課題」は業種別特許プール(Patent Pool)構築、中小企業特許費用に対する税額控除、産業別特許動向の情報提供、中小企業特許共済の導入、中小企業CEOの知的財産権の認識向上、中小企業の中国市場進出に向けた知財権保護強化、中小企業による大企業開放特許の活用促進、中小企業IP金融の拡大、中小企業における職務発明補償制度の活性化だ。

「業種別特許プール(Patent Pool)構築」は、業種別共同組合を中心に共同の特許プールを構成し、中小企業が特許紛争に共同対応することを目的としている。そのために、中小企業・ID社・民間金融機関が100億ウォン規模ファンドの造成に向け議論を活発化させている。今年は中小企業適合業種であるLED等、照明分野で試験的に特許プールを構築し、来年からは対象業種を拡大する計画だ。

※インテレクチュアル・ディスカバリー(Intellectual Discovery):パテントトロールに対応するため、政府・民間が共同出資して2009年に設立した特許管理会社

「産業別特許動向情報提供」は国内外の産業別特許動向等、最新のIP情報を分析・加工して定期的に中小企業に提供することで、中小企業がR&D戦略の策定や製品開発等に活用できるように後押しするものである。特許庁は、今年2月まで対象となる産業分野を選定し、3月から産業別特許動向情報を中小企業に提供する予定だ。

「特許共済制度」は特許紛争等、知的財産に関するリスクを管理できるよう支援することで、中小企業の安定的な経営基盤を提供することを目指す公的扶助制度である。特許庁は制度導入に先立ち、政策研究を委託して制度の妥当性や実効性等を綿密に検討する方針だ。

チェ・ドンギュ特許庁長は、「今回の9大中核課題の推進は、中小企業が知的財産を基盤に強いグローバル企業として成長する上で大きな役割を果たすと期待される。特許庁は今後も引き続き、中小企業が実感できる政策、ビジネス現場に実質的に役立つ政策を進めるため、企業とのコミュニケーションや協力を強化する方針だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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