知的財産ニュース 中国で韓国製化粧品の偽物が大量流通

2016年3月28日
出所: デジタルタイムズ

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中国最大オンラインショッピングモール、タオバオでは「イニスフリ基礎セット」の偽物が72人民元(正規品価格240人民元)で販売されている。同偽物はパッケージと商品構成等、見分けがつかないほどほぼ本物と同じだ。

中国内の化粧品販売店でも雪花秀(化粧品のブランド名)の容器にブランドの英語表記を「Sulwhasoo」ではなく、「Sulansoo」に、包装ボックスには製造会社名「アモーレパシフィック」を「アモーレピョシフィック」に巧みに変えた偽造品が摘発された。


画像:中国で販売されている雪花秀模倣品(右)と正規品(左)、資料:関税庁

中国国家工商行政管理総局によると、中国現地のオンライン上で流通される化粧品のうち、偽造品の割合は約40%に達する。これらの偽物は正規品価格の25%水準で販売されている。

このような中国における偽物の大量流通を受け、国内化粧品メーカーは正規品の保護に乗り出した。中国で認知度の高いアモーレパシフィックは、今年初め、自社製品の偽造品取り締まりのために、アリババと知的財産権保護に関する業務協約(MOU)を締結した。両社は、偽造品関連情報を共有すると同時に、ティモール等で販売中のアモーレパシフィックのブランドに対する調査・監督等を共同で行うことにした。また、リアルタイムモニタリングも並行する。

アモーレパシフィックは、オフラインにおいても訪問販売や転売屋等を通じて偽物が流通されることを受け、流通チャンネルを一本化することにした。

同社の関係者は「中国法人に偽造品専門担当対応チームを構成し、偽造品販売者に対しては行政処分だけでなく、事案が重大な場合は刑事告発する等、厳しく対応する方針だ」と話した。LG生活健康は、容器のデザインを複雑にして偽物に対応するという戦略だ。同社は漢方化粧品「后(フ」)、「su:m(スム)37」等の容器のガラス部分、蓋の金属装飾、蓮の花等の彫刻を精巧に作って模倣を困難にした。

中小の化粧品メーカーは特殊製作されたホログラムを製品に付着したり、専門企業と提携して正規品タグを付ける方法で対応している。

「馬油クリーム」を生産するクレアスコリアは、正規品認証ヒドゥン・タグを製品の下段に付着し、アプリを利用してリアルタイムで本物かどうかを確認できるシステムを構築した。中国で「パク・ソジュンマスクパック」で有名な「ザ・宇宙」と美白化粧品として人気を集めているジェイジュンコスメティックは、国内の新素材企業ナノブリックが開発した偽造防止ソリューションエムテグ(M-Tag)を採用した。ホログラム、QRコード、RFID、蛍光インク等は容易に複製され、本物の確認に複雑な道具が必要だが、エムテグは販売促進用のゴム磁石を近づけると色が変化し、純正品かどうかが分かる。

政府も中国内偽物の流通遮断に努めている。関税庁は今月22日、輸出支援総合対策を発表し「逆直購(海外直接購買)の通関認証制」を導入することにした。同制度は、韓国の製造会社が生産した正規品が税関の通関手続きを踏んだという事実を認証する制度であり、QRコードを通じて本物かどうかを確認することができる。関税庁は今年6月から、オンライン逆直購物品を対象に同制度を施行する計画であり、化粧品の他人気消費財輸出品に拡大する案を検討している。

パク・ミヨン記者  mypark@dt.co.kr

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