知的財産ニュース 今年下半期、相次ぐ特許満了によるジェネリックの競争激化が予想

2016年7月13日
出所: デジタルタイムズ

5413

今年下半期、製薬会社の主要品目のPMS(市販後調査)期間満了と特許満了等が相次ぎ、市場競争が一層激しくなる見通しだ。

PMSは、臨床試験を経て許可を受けた医薬品について、市販後の副作用等を検証する段階だ。臨床試験で効能と安全性を立証しても追加的な安全性を確認する段階であるだけに、この期間の間には、製品の特許とは別にジェネリックの販売が制限され、オリジナル薬の開発会社は、実質的な独占権を行使することができる。逆にPMS期間が満了すると、ジェネリックで市場に参入しようとする競合会社が当該製品に残っている特許を回避したり、特許審判院から無効審判を獲得して、最も早かった場合は、優先販売権を獲得して市場に参入することができる。

このため、特許関連攻防が激化している。韓国BMS製薬の慢性骨髄性白血病治療剤「スプリセル」は、今年第1四半期IMSヘルスを基準に約54億ウォンの売上高を記録した大型品目だ。このスプリセルが来月19日にPMS期間が満了することから、国内製薬会社は96件の特許無効審判を提起したが、BMS社はこれらすべてに対応し、ジェネリックの発売を阻止した。

一方、第1四半期の売上が202億ウォンに上るドイツのベーリンガーインゲルハイムの高血圧治療剤「ツインスター」は、PMS期間満了後、様々なジェネリックが発売される予定だ。 ツインスターの物質特許は2013年1月で満了したため、国内の製薬会社はPMSの満了を待っていたのだ。現在、ベーリンガーインゲルハイムと販売提携を結び、ツインスターを販売する柳韓洋行はもちろん、安国薬品、一同製薬等製薬会社約10社がジェネリックを発売する計画だ。

この他にも、韓国ヤンセンの統合失調症治療剤「インベカソスティナ」が今月25日、韓国ノバルティスの慢性閉鎖性肺疾患治療剤「オンブレス」吸入用カプセルは来月25日、ノボノディスクの糖尿病治療剤「ビクトザーペンジュ」は10月5日、PMS期間が満了する。

ある製薬会社の法務チームの関係者は「ジェネリック許可書類はPMS期間満了日以降すぐ出せるため、製薬会社は予めPMS満了品目の製剤研究をする。PMS期間が満了しても特許が問題となる場合は、造成物や配合等を変え、特許を回避したり積極的に無効審判を提起したりしている」と述べた。

来月9日でPMSの期間満了となるアッビー「ヒュミラ」は、国内よりも海外で特許紛争が激化する見通しだ。国内では、サムスンバイオエピス、セルトリオン、LG生命科学、東亜ソーシオホールディングス系列DMバイオ等がヒュミラのバイオシミラーをそれぞれ開発しているが、アッビーは2019年1月に満了する物質特許等15件の国内特許を保有しており、欧州でもバイオシミラーの進入を防ぐため、乾癬等の適応症特許を追加して満了時点を2022年に延長した。これを受け、世界バイオシミラー市場の攻略を狙う国内企業は、特許専門人材を置いて海外特許紛争に備えている。

下半期には様々なブロックバスター製品の特許が満了する見通しだ。下半期に特許が切れる主要品目は、SKケミカルの骨関節炎治療剤「ジョインスジョン」、ロシュの肺がん治療剤「タルセバ」韓国ヤンセンの統合失調症治療剤「インベガサスティナ注射」及び「インベガ徐放錠」アストラゼネカの肺がん治療剤「イレッサ」等だ。第1四半期の売上ベース50億ウォン規模のジョインスジョンは9月30日、52億ウォン規模のタルセパは10月31日、計42億ウォン規模のインベガ徐放錠・インベガサブティナ注射は11月27日、72億ウォン規模のイレッサは12月1日にそれぞれ特許が終了する。

キム・ジソプ記者 cloud50@dt.co.kr

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195