知的財産ニュース 特許庁・韓国銀行、「知識財産権貿易収支」初発表
2015年5月13日
出所: 韓国特許庁
5006
特許庁は、韓国銀行と共同で5月12日に韓国の「知識財産権貿易収支」の新規開発結果(2010~2014)を発表した。
「知識財産権貿易収支」は2014年8月1日に第11回国家知識財産委員会でその開発方策を確定したものであり
特許庁と韓国銀行が「知識財産権貿易収支」の新規開発に向けたMOUを締結(2014年5月)して約11カ月で成し遂げた結果である。
推進背景
現在の知識財産貿易に関する統計からは、知識財産権の輸出入の現況を正確に把握することができないため、様々な政策需要に対応する上で限界があった。
「知識財産権使用料収支」には知識財産権の販売額及び購買額が含まれておらず、「技術貿易統計」には著作権(ソフトウェア及び各種コンテンツ)関連の輸出入内訳が含まれていない。
このような問題点を改善するため特許庁と韓国銀行は、文化体育観光部、統計庁、未来創造科学部などの関連省庁との協議を経て、すべての類型を包括する新たな「知識財産権貿易収支」統計を開発した。
知識財産権 使用料収支 |
技術貿易収支 |
知識財産権 貿易収支(新規) |
||
---|---|---|---|---|
特許・実用新案権 |
使用料 |
○ |
○ |
○ |
販売・購買額 |
× |
○ |
○ |
|
(産業)デザイン権 |
使用料 |
○ |
○ |
○ |
販売・購買額 |
× |
○ |
○ |
|
商標権 |
使用料 |
○ |
△※ |
○ |
販売・購買額 |
× |
△※ |
○ |
|
著作権 |
使用料 |
○ |
× |
○ |
販売・購買額 |
× |
× |
○ |
※製造法などの技術知識の移転を伴う商標の取引及びライセンシングのみ反映
主要結果
今回発表された韓国の「知識財産権貿易収支」調査結果の主な特徴をまとめると次の通り
総括
2014年知識財産権取引の全体規模は235.4億ドルで、貿易収支は61.7億ドルの赤字となったが、2010年の103.4億ドルの赤字に比べ大幅に改善
※電気・電子製品の製造業部門において大企業の米国との特許・実用新案権取引が貿易赤字全体の相当部分を占めている。類型
著作権分野の2014年中貿易収支は12.1億ドルの赤字となり、2010年の45.2億ドルの赤字に比べ大幅に改善、産業財産権分野における2014年中貿易収支は48.7億ドルの赤字と、2010年の54.8億ドルの赤字に比べ小幅に縮小
機関
2014年中の国内中小・中堅企業の知識財産権貿易収支は9.9億ドルの黒字と2010年の0.9億ドルの黒字に比べ大幅に改善、国内大企業の2014年中貿易収支の赤字は42.6億ドルと、2010年の80.3億ドルに比べ赤字幅が大きく縮小
産業
電気・電子製品製造業の2014年中貿易収支は、46.0億ドルと2010年の72.1億ドルの赤字に比べ大幅に縮小、自動車製造業の2014年中貿易収支は8.0億ドルの黒字と、2010年の0.3憶ドルの赤字から黒字に転換
国家
米国に対する知識財産権貿易収支は、2014年中59.5億ドルの赤字と、2010年の68.0億ドルに比べ赤字幅が縮小、中国に対する知識財産権貿易収支は、2014年中22.3億ドルの黒字と2010の10.2億ドルに比べ黒字幅が大きく拡大
今後の計画
特許庁と韓国銀行は、今回の統計が政府の「知識財産権貿易収支」改善対策及び国家知識財産基本計画などと連携できるように主な赤字分野に関する深層分析を行う計画だ。
チェ・ドンギュ特許庁長は、「今回開発された知識財産権貿易収支は、韓国の知識財産権の国際取引実態を総合的且つ客観的に示す最初の統計という点でその意味合いが大きい。今後、これを活用し各省庁の貿易収支改善方策の推進を積極的に支援するとともに、OECD等に国際統計に提案し国際的拡大を目指したい」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195