知的財産ニュース 自動車用半導体に関する特許出願が急増

2015年9月25日
出所: 韓国特許庁

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最近、自動車に使用される機械式部品が電子装備に代わることに伴い、自動車用半導体に関する技術の特許出願も急増している。

特許庁によると、自動車用半導体の主要メーカー[1]による韓国内特許出願は2010年には68件に過ぎなかったが、2014年には138件へと、ここ5年間年平均20.5%増加している。2015年8月までの出願件数も122件に達しており、このような傾向は今後も続くとみられる。

自動車用半導体とは自動車の各種センサーや制御装置、駆動装置等に使われる半導体のことを言うが、パソコンや携帯電話等の消費者用半導体より、はるかに高い水準の安定性と耐久性を必要とする。現在、自動車1台にはメモリ・非メモリ半導体、マイクロコントロールユニット(MCU)等、200個以上の半導体が搭載されており、無人自動車のような未来型自動車にはより多くの半導体が使われる見通しだ。

自動車用半導体の主な技術分野は、センサー、記憶装置、情報処理、転送、集積回路(IC)、電力・ディスクリート素子[2]等に分けられるが、このうち、主に電子制御に使われる集積回路(IC)に関する出願が30%と、最も大きな割合を占めている。

また、電力・ディスクリート素子やセンサー分野の出願も2000年代始め頃、それぞれ8%と6%だったのが、ここ5年間27%と12%を占めるほど、大幅に増えた。この背景には、バッテリーの効率的な電力制御が欠かせないハイブリッド車や電気自動車等のエコカー技術と、多様な種類センサーを活用する自律走行車技術の開発が活発になったことがあるとみられる。

グローバル市場調査機関であるIHSによると、去年の自動車用半導体市場は、前年比10%増の290億ドルとなり、2020年には400億ドルに達すると見込まれる。また、半導体市場調査企業である米IC Insightsも、自動車用半導体市場の年平均成長率を10.8%と予想し、半導体市場全体の中で最も速い成長を見せるとの見通しを示した。

特許庁のチャン・ヒョンスク半導体審査課長は「今後、自動車における電子部品使用量の増加に伴い、自動車用半導体への需要も増えると思う。韓国は、世界的水準の半導体技術と自動車製造産業をともに保有しているだけに、自動車用半導体に対する積極的な投資と技術開発が求められる」と述べた。


注記

[1] 市場シェア上位5社には、ルネサス、インフィ二オン、STマイクロエレクトロニクス、フリースケール、NXP社がある。
[2] ディスクリート素子とは、ICのような統合型回路を使用せず、電流を流し出すスウィッチの役割をするトランジスタのように単一機能を担当する個別素子のことで、主に電力用半導体に使用される。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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