知的財産ニュース 障害者便宜改善の家電生活用品特許出願が急増

2015年4月17日
出所: 韓国特許庁

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障害者差別禁止法の施行以降に企業の関心増加

2008年に「障害者差別禁止法」が施行されてから、家電生活用品分野における障害者便宜改善のための特許出願が急増している。

韓国特許庁によると、障害者関連の特許出願が2007年以降から増加している。この中でも家電生活用品分野の特許出願は2008年までは年平均80件余りであったものが、2009年からは年平均120件余りで50%以上急増していることが調査された。このように「障害者差別禁止法」が施行された後に義手、義足等のような障害者専用製品が主であった障害者関連の出願が、日常の便宜を提供する家電生活用品まで拡大していることがわかる。

特に企業は、2008年以前の5年間(2004~2008)104件であったものが2009年以降5年間(2009~2013)は約2倍の204件を出願したと示された。家電生活用品の利用が困難な人口の割合が10%(2009年基準)を超え、企業が主な消費者として認識し始めつつ、「障害者差別禁止法」施行以降の社会全般において障害者の普遍的な便宜に関心を傾けてから、企業も障害者が便利に使用できる多様な製品開発に力を注いだ結果であると見受けられる。

家電製品の場合は、製品の利用をより簡単にする技術が主に出願されている。例えば益々大型化される冷蔵庫の場合、重いドアを簡単に開け閉めできるような技術、エアコン及び冷蔵庫の使用マニュアルを音声で案内や使用者を自動認識して事前に設定されたモードで作動できるようにする技術、バイメタルを利用して鍋やコップの内容物の温度を点字で表示し火傷を防止する技術等がある。

一方、生活の便利を提供する技術から一歩進んで障害者も非障害者と同等に余暇を楽しむことができるようにした技術も出願されている。具体的な例では、振動を利用して聴覚障害者が字幕なしに映画を楽しむことができるマイク付ヘッドホン、点字と同じ突出部や模様等が刻まれている障害者と非障害者が共にできるパズル、振動とモーション認識技術を利用して視覚障碍者も文字入力ができるようにしたタッチスクリーンの様なものである。

韓国特許庁関係者は「障害者の福祉政策が「障害者を特別に配慮」したレベルから「障害者と全ての活動を共有」するレベルに変化したことによって、障害者の使用便宜を改善した製品の需要が増加している」とし、「多様な家電生活用品を中心に障害者の便宜増進のための斬新なアイデアの発掘と適切な特許権利化が先行されれば、変化する市場環境において企業競争力を大きく向上できるはずだ」と述べた。

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