知的財産ニュース 「中韓FTA時代」中国の商標が押し寄せてくる
2015年6月11日
出所: 韓国特許庁
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中韓FTA発効を前に、中国による韓国への商標出願が急増している。
※中韓FTAの今後の主要手続き:批准同意案の国会本会議成立→発効
特許庁によると、中国による韓国への商標出願は2010年の1,246件から2014年の2,622件へと、過去5年間で2倍以上増加した。
中国による韓国への商標出願には、韓国への直接出願と、マドリッド協定議定書に基づく国際出願がある。このうちマドリッド国際出願は2010年の672件から2014年の794件に増加し、韓国に直接出願した件数は同期間574件から1,823件へと3倍以上も増えた。
※マドリッド協定議定書に基づく国際出願:一つの国際出願書で「マドリッド協定及び議定書」に加盟している複数の国に商標出願をする制度。韓国は2003年4月10日「マドリッド議定書」に加盟。
背景には、2010年以降、中韓FTA政府間交渉の本格化に伴って中韓間の貿易が拡大していることがあると分析される。
過去5年間の外国による韓国への商標出願をみると、米国が31,823件で全体の27.3%を占めており、続いで日本(17.2%)、中国(9.3%)、ドイツ(7.6%)、フランス(5.5%)の順となっている。
注目すべきなのは、日本による商標出願が2012年から減少し続けているのに対し、中国は増加を続けていることだ。2015年4月末時点で、日本1,015件、中国1,126件となっており、数年間日本が守り続けてきた2位を中国に奪われたかたちとなった。
中国による商標出願を品目別にみると
1位:電子機器・ゲーム著作物(ソフトウェア類):1,894件
2位:衣類や靴などファッション分野:1,663件
3位:化粧品類:874件
4位:卸売・小売:851件
の順となっている。
中韓FTAによってゲーム著作物(ソフトウェア類)の権利保護が強化されたことに加え、韓国ドラマやK-POP、Eスポーツなど韓流ブームを追い風にファッション、美容、ゲームの中心地に浮上した韓国がマーケティング戦略のターゲットになったことが背景にあると思われる。
※Eスポーツ:オンラインゲームの各種大会やリーグ、又はプロゲーマー、ゲーム解説者などを含むエンターテインメント産業
特許庁のチェ・ギュワン商標デザイン審査局長は「韓国にとって最大輸出国且つ最大輸入国である中国による商標出願は、今後増えると予想されるので、これに合わせて韓国企業も名品ブランド構築にさらに力を入れなければならない」と指摘した後「中国進出を計画している個人や企業は、中国で使うブランドについてまず韓国で商標出願をした後、これを基礎出願(第1国出願)にして6カ月以内にマドリッド国際出願をすれば、中国出願日について韓国出願時に出願したと同等の扱いを受けることができるので、中国内で商標を先取りする上で有利になる」とつけ加えた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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