知的財産ニュース マイクログリッドに関する特許出願が急増

2015年6月2日
出所: 韓国特許庁

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電力需要は毎年増加している一方で、環境破壊及び健康への悪影響などの理由で大型発電所や高圧送電施設の建設が難航している。こうしたことから、再生可能エネルギーやエネルギー貯蔵装置などを利用して小規模地域別に電力を自給自足する「マイクログリッド(Microgrid)」技術が注目を集めている。

特許庁によると、「マイクログリッド」に関する特許出願は2010年の39件から、2014年の121件へと、過去5年間年平均32.7%の高い増加率となっている。風力・太陽光など再生可能エネルギー発電単価の持続的な下落に加え再生可能エネルギー設備の補助金などが追い風となり、マイクログリッド技術開発の環境が整ったため特許出願が増加したと分析されている。

マイクログリッドは、生産された電力を小規模地域で自給自足する独立型マイクログリッドと従来の電力系統に連携させる系統連携型マイクログリッドに分けられる。ここ5年間の特許出願をみると、風力・太陽光のような間欠的エネルギー源であるにもかかわらず電圧・周波数を維持する技術など独立型は117件、分散電源の電力系通連結による電力品質の維持技術など系統連携型は142件、エネルギー貯蔵装置、発電機、インバーター・コンバーターのような電力用半導体など両方式に適用される共通の技術は137件と、系統連携型における特許出願が最多であることが分かった。

しかし、2013~2014年の特許出願件数をみると、独立型が71件、共通技術が81件と、同期間63件に止まった系統連携型を追い越し、独立型及び共通技術の増加が目立っている。背景には、ここ数年間の原油価格の高止まりの影響により、ディーゼル発電へと急激に転じた離島地域において、再生可能エネルギーの価格競争力が高まったことがあるとみられる。実際2011年以降、全羅南道や済州島の離島に風力・太陽光をエネルギー源とする独立型マイクログリッド実証団地を設置し、技術開発に乗り出す企業が増えている。

市場調査機関SBIエネルギーによると、2014年80億ドルだったマイクログリッド世界市場規模は、2020年になると150億ドルにまで成長すると見込まれる。米国の場合は、すでに大停電が数回起きたほど老朽化した電力設備への備えとして、欧州と日本の場合は、それぞれ温室効果ガスの削減及び原子力依存度の軽減の一環として、マイクログリッド構築プロジェクトを進めている。

特許庁の関係者は「韓国のエネルギー貯蔵装置分野における競争力は世界的にも認められており、世界マイクログリッド市場を開拓する上で有利な立場にいる。韓国企業が海外市場に進出する際には、現地の電力網状況や立地条件を満たした技術ポートフォリオを備えることはもちろん、進出国における特許権の取得にも力を入れなければならない」と述べた。

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