知的財産ニュース 特許庁、標準特許創出の支援策を発表

2015年5月29日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、映像圧縮技術分野を研究する国内大学が標準特許創出を拡大することで国家競争力を強化し、創造経済の実現に貢献できるように後押しするために4大支援策を発表した。

4大支援策は、標準特許に係わる知財権への認識の向上、審査3.0政策を活用した標準特許の確保への支援、映像圧縮技術に関する知財権分析情報の提供、標準関連の高品質特許審査サービスの提供などだ。

映像圧縮技術は、大容量デジタル映像データを画質の歪曲を最小限に抑えながら小さく圧縮する技術のことだ。HD放送、IPTV,UHD放送などデジタル世界の発展に伴う映像データ送信量の増加により、圧縮効率をさらに上げる技術が開発・標準化してきた。ギャラックシー6やi-Phone6、G4,UHD TVなど、最新のスマートフォンと映像機器に高効率映像圧縮技術であるHEVC(High Efficiency Video Coding)が使用されている。

韓国は、現在、HEVC標準特許保有件数において圧倒的1位となっている。特に、初めてKAIST(韓国科学技術院)、慶熙大学、光云大学、成均館大学、世宗大学、航空大学など国内6つの大学がHEVC標準特許を確保したことは、注目される。

ただ、過去5年間、国内映像圧縮技術に関する特許出願のうち、国内大学名で出願された特許の割合は、約11%に上っているが、国内大学名で確保された標準特許は0.6%に過ぎない。これは、国内大学の標準特許創出能力を高める上で、政府の支援が欠かせないことを示している。

このような状況を受け特許庁は、まず、大学の教授と研究者を対象に標準特許創出に関する情報とノウハウを共有する計画だ。今年7月に標準特許をテーマとするカンファランスを開催し、今年下半期には、大学の研究者を対象に標準特許観点知財権教育をモデル実施を行う予定だ。

これに加え、出願人が審査官と事前面談を実施し、希望する時期に迅速な標準特許の取得に活用できる審査3.0政策を積極的にPR・支援する。一般的に標準化の議論が進められている間は、特許審査をできるだけ遅らせた方が有利とされている。しかし、一旦標準化が完了されたら標準技術と一致する特許を速やかに確保し、特許プールに加入した方が有利だ。

さらに、特許庁は、知財権情報へのアクセス・分析に弱い大学のために、HEVC特許動向分析報告書を下半期に発行するなど、知財権分析情報も提供するとしている。

一方で、特許庁は、審査官の国際標準化会議への出席を勧めるとともに、民間の専門家が特許審査に参加できる特許審査クラウドソーシング(Crowd-sourcing)も実施するなど、標準関連の高品質特許審査サービスの持続的な提供に努力する予定だ。

特許審査3局のイ・ヘピョン局長は「特許庁は、今回の標準特許創出支援策を通じて映像圧縮技術分野における大学の役割・貢献をサポートしていく方針だ。また、今後も韓国がこの分野において世界ナンバーワンの技術力を維持し、創造経済の実現を促すことができるよう後押ししたい」と述べた。

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