知的財産ニュース 車の内装材技術に関する特許出願が増加

2015年7月31日
出所: 韓国特許庁

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特許庁によると、過去10年間(2005~2014年)、車の内装材に関わる特許出願は年平均44件と、出願が絶えず続いている。

内装材は、車の内部を構成しているあらゆる部品のことで、座席や天井・ドアの仕上げ材を始め、安全面で重要な役割をするインストゥルメントパネル(Instrument-Panel)等がある。内装材は、ほとんどの場合、金型を利用して製造されているが、プレス、真空、射出、発砲等の方法で内装材に求められる様々な機能を実現する。

内装材の代表的な機能としては、装飾性、安全性、利便性等がある。多様な色やパターンを活用して個性を表す装飾機能に加え、利便性と安全性のための機能も非常に重要だ。 具体的な例として、熱気や冷気の保存又は遮断のための断熱機能、騒音に関わる遮音・吸音機能、万が一の状況で外部の衝撃から搭乗者を守るための衝撃緩和機能等がある。

国内市場では国産車の消費割合が高いため、韓国人による出願が外国人による出願より約3倍多くなっているが、外国企業の市場進出の拡大や消費者性向の変化等の影響で、今後は外国人の出願がさらに増えると予想され、国内企業は対応を迫られている。

韓国人による出願の中では、研究所や大学の割合が極めて低い反面、企業の割合(77%)は大きくなっていた。中堅・中小企業による出願件数は、大企業と大きな差はなく、他分野に比べ中堅・中小企業による出願割合は相対的に高い。内装材は車種によって形状や素材に差が大きいため、これまでは研究所や大学での長期的な研究開発よりは、直ちに活用できる応用技術の開発を中心に出願されてきたが、コア技術の開発に向けた研究所・大学における中長期的なプロジェクトの必要性も高いと考えられる。

最近では、搭乗者の乗り心地を向上させるために、シートパッドを複数のエリアに分け、硬度に差をつけて製造する技術や、従来の方法では結合が困難、又は強度の弱かった金属と樹脂材料を強い強度で結合する技術、磁気力により金属粒子が内装材の表面に密集するようにして少量の金属粒子で金属質感を出す金型技術等が出願されている。

また、環境問題とともに燃費等の経済性も重要となり、軽量化に向けた新たな素材の開発や韓紙、竹のような天然素材又はバイオ複合材料等、環境にやさしい素材を使用するための技術も出願されている。

より多くの機能を提供するために内装材の形もさらに複雑になっており、特性の異なる金属、樹脂、天然素材等の多様な素材を同時に使うことも増えているため、これらを効果的に結合させる必要性も増している。

女性ドライバーの増加や車の利用時間の増加に伴い、エンジンの性能や外観に加え、内装材の多様な機能が、車を選択する上でより重要な基準になるとみられる。これによって、消費者に選ばれるための、複合機能を備えた内装材の重要性がさらに増大する見通しだ。

特許庁のキム・ヒテ加工システム審査課長は「様々な素材を使用して内装材をより効率的に整形するための方法はもちろん、ここに使われる金型に関わる技術開発を急ぎ、関連コア技術の特許権を確保することが求められる」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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