知的財産ニュース 特許庁、特許開放の活性化でベンチャー・中小企業を後押し

2015年7月23日
出所: 韓国特許庁

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特許を無償でベンチャー・中小企業に開放する場合、特許料の50%減免が受けられる。また、開放された特許がベンチャー・中小企業に円滑に移転され事業化につながるよう、政府の支援が強化されるとともに、開放特許を一カ所で統合検索できるようになる。
※特許料:特許所有者が特許権を維持するために、毎年特許庁に納付する手数料

特許庁は、このような内容を骨子とする「特許開放及び活用促進策」が7月22日に開催された第14回国家知識財産委員会で確定したと発表した。

最近、LGが忠北(忠清北道)創造経済革新センターを通じて約5万2千件の特許を開放し、サムスンも大邱創造経済革新センターで3万8千件の特許を開放する等、大企業は、特許開放を通じてベンチャー・中小企業の新製品開発に積極的に乗り出している。

創造経済革新センターを通じた特許開放現況(2015年6月)

LG
:特許52,000件を有無償開放
サムスン
:特許38,000件を有無償開放
現代自動車
:特許1,400を有無償開放
SK
:特許600件を有無償開放

これを受けた政府は、企業の自発的な特許開放を一層促進し、開放された特許がベンチャー・中小企業で効果的に活用されるよう支援することを目的に今回の対策をまとめた。

  1. まず、企業等がベンチャー・中小企業等に特許(実用新案、デザインを含む)を無償で譲渡又は実施許諾を行う場合、特許料の最大50%減免(今年11月から)が受けられる。
    ※特許庁に特許料を納付する際、現金の代わりに使えるIPポイントとして提供

    特許の無償実施を許諾する場合、特許料50%減免に相当するインセンティブを提供
    特許の無償譲渡を行う場合、一定の金額のインセンティブ(1件当たり約30万ウォン)を提供

    特許料減免インセンティブの要件(案)

    区分

    無償実施

    無償譲渡

    支援内容

    特許料50%に相当するIPポイント

    1件当たり30万ウォンのIPポイント

    公示

    韓国発明振興会の知識財産取引システム(創造経済革新センターウェブサイトと連携推進)に無償譲渡(譲渡、実施等)を公示すること

    契約期間

    無償通常実施(多数に実施許諾) 専用実施(1カ所のみに実施許諾)の契約が1件(契約期間3年以上)以上存在し、契約期間範囲以内であること

    開放特許の譲渡を受けた中小企業等が1年分以上の特許料を納付すること

    権利関係

    特許登録原簿に通常実施権、専用実施権、権利移転が登録されること

    契約者

    無償通常実施・専用実施、譲渡の契約当事者が法律上特殊関係人でないこと

  2. 全国の「創造経済革新センター」に「特許取引専門官」を配置させることで、開放特許が地域のベンチャー・中小企業に円滑に移転され、新製品開発に活用されるように支援する。
    ※需要技術の発掘や供給技術マッチング等を担当する特許技術取引専門家

    今年にソウル、大田、大邱、光州等に9人の特許取引専門官を配置させ、2月から忠北、大田、大邱の創造経済革新センターにおける特許開放をサポートしており、来年には、創造経済革新センターが設置されている17市・道全体へと支援地域を拡大する計画だ。

  3. 特許技術の需要者と供給者の間で、開放特許をマッチングできる基盤を整える。

    今年末まで、特許技術の需要企業・供給企業、金融機関、特許取引専門機関、民間の技術取引機関等が参加する自発的な開放特許マッチング環境を整備し、
    来年の上半期には、「知識財産取引情報システム」をアップグレードし、企業や政府出捐機関等が開放した特許をより容易に統合検索できるようにする予定だ。

チェ・ドンギュ特許庁長は「今回の政策が施行されれば、ベンチャー・中小企業は、大企業の優れた開放特許を利用して新製品を開発して特許競争力を高めることができると期待している」とし、「今後も引き続き、創造経済の実現と大企業・中小企業の共生に向け、特許開放がさらに進むよう後押ししていきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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