知的財産ニュース 韓国大法院、IP Hub Court推進委員会を発足
2015年6月25日
出所: 韓国大法院
5044
発足の背景
大韓民国特許法院は、1998年アジアで最初に設立されたIP分野専門裁判所である。
特許法院の専門性と国際的地位の強化に向けた努力はこれまで続けられており、大法院は司法府内部の研究と議論を経て、2015年3月「韓国の優秀な司法インフラと人的資源の結合を通じて創造する未来司法のモデル」としてIP Hub Courtを推進するとの内容のマスタープランを樹立。
IP Hub CourtはグローバルIP紛争解決の中核的な役割担うIP専門裁判所であり、国際裁判所による迅速・正確・低費用の判決でグローバルIP紛争においてテストベッドのような役割を果たす等、特許法院の専門性及び国際的地位の強化を通じて実現することができる。
IP Hub Courtは、IPと司法サービスの結合を通じて成長の限界に遭った韓国に新しい成長モデルを提示し、今後社会的資本として寄与することができる。
世界各国がIP中心国の地位を占めるために激しく競争している中、韓国特許法院がIP Hub Courtになるためには、各界の様々な意見を反映し、具体的な発展策を模索する必要がある。
そこで、IP Hub Court実現に向けた法制度的、物的、人的、国際的基盤の整備策を議論するために、法院行政処にIP Hub Court推進委員会を設置することにした。
IP Hub Court推進委員会の構成
司法府はもちろん、立法府、行政府、学界、産業界、関連専門家団体等が全て参加する開放型議論機構として、各界の様々な立場と意見が反映される体系的な公論化の場になることを期待する。
- 推進委員会の委員
特許法院長、国会特許ハブ国家推進委員会運営委員長の国会委員2人(以上、共同委員長)、行政府代表として国会知識財産委員会、法務部、特許庁の各代表、法学会及び科学技術界の各代表、産業界代表、弁護士団体及び弁理士団体の代表等14人で構成
- 専門委員
IP分野専門法官はもちろん、他機関の専門家も参加予定
IP Hub Court推進委員会の案件
- IP Courtの国際化
- IP訴訟手続きの強化:グローバル基準に合う特許訴訟手続、IP権利者に対する適正な保護
- IP Courtの専門性強化及び未来戦略の提示
IP Hub Court推進委員会の運営計画
- 2015年6月4日 大法院にて第1回会議を開催
- 2015年7月 特許法院内「国際裁判部」設置等IP Courtの国際化に向けた様々な方策を議論する予定
- 2015年10月まで毎月会議を開催する予定
IP Hub Court推進委員会の発足背景
特許法院の専門性及び国際的地位の強化の必要性
- 1998年アジア最初のIP専門裁判所として開院(日本2005年、中国及びロシア2014年にそれぞれ設置)
開院後、発展を重ねてきたが、審決取消訴訟と特許侵害訴訟の二元的管轄構造により飛躍的成長には限界があった。
- 司法政策諮問委員会2014年4月建議
特許侵害訴訟の管轄に集中することで専門性を高め、ひいては国際的な特許代表裁判所に育成させる必要がある。
法院行政処、2015年3月、長期間の研究を経た「IP Hub Court推進に向けたマスタープラン」を樹立
- IP Hub Court ⇒ 韓国特許法院がグローバルIP訴訟において好まれる法廷地となること
- 長期的には、一段と向上した韓国特許法院の国際的地位を基にアジア特許紛争解決機関が韓国に設置されることを目標とする。
様々な意見反映が必要
- IP分野は、様々な利害関係が衝突する領域であり、技術と法律の融合が要求される分野である。
- IP紛争解決の中心国を目指すアジア諸国との競争で優位に立つためには、各界の理解と支持、助言と支援が欠かせない。
IP Hub Court推進委員会の構成
司法府のIP分野の権威者はもちろん、立法府、行政府(国家知識財産委員会、法務部、特許庁)、学界(法学界、科学技術界)、産業界(IP権利者団体)、弁護士団体及び弁理士団体の各代表で構成
姓名 |
所属/職位 |
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共同委員長 |
カン・ヨンホ |
特許法院長 |
キム・ドンワン |
セヌリ党 国会議員(国会 世界特許ハブ国家推進委 運営委員長) |
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パク・ボムギェ |
新政治民主連合 国会議員(国会 世界特許ハブ国家推進委 運営委員長) |
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委員 |
コ・キソク |
国家知識財産委員会 知識財産戦略企画団長 |
クォン・テクス |
韓国知識財産権弁護士協会 協会長 |
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キム・サムス |
大韓弁理士協会 首席副会長 |
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ベ・ギヨル |
ソウル高等法院 知財担専担部 先任部長判事 |
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ボン・ウク |
法務部 法務室長 |
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アン・スンホ |
韓国知識財産協会 協会長(サムスン電子 IPセンター長) |
|
イ・クァンヒョン |
KAIST未来戦略大学院長 |
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イ・ジョンソク |
特許法院 部長判事 |
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チョン・サンジョ |
ソウル大学校 法科大学 教授 |
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ジェ・デシク |
特許庁 特許審判院長 |
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ハン・キュヒョン |
特許法院 首席部長判事 |
IP Hub Court推進委員会の案件
IP Hub Courtの実現に向けた法制度的、物的、人的、国際的基盤の整備策
審議案件
IP Courtの国際化‐国際的接近性の強化
- 国際裁判部の設立
- 国際電子訴訟の導入及び活用策の策定
- 特許法院の国際的交流及びステータスの強化
IP訴訟手続の強化1-グローバル基準に合う特許訴訟手続
- 実現
- 進歩性に関する事実審理の充実化
- 当事者の特許訴訟手続参加権の強化
- 特許訴訟用語の改善
IP訴訟手続の強化2-IP権利者に対する適切な保護
- 訴訟手続における証拠確保手段の強化
- 適正な賠償額算定の基準及び方法
- IP訴訟におけるADRの活性化
IP Courtの専門性強化及び未来戦略の提示
- 法官の専門性強化
- 技術補助専門人材の適正な活用策
- 特許関連訴訟体系の一元化対策(管轄集中1審管轄等)
- IP Hub Court推進に向けた未来戦略の提示(総合討論)
IP Hub Court推進委員会の運営計画
委嘱式及び第1回会議の開催
- 日時・場所:2015年6月4日 10:00~12:00 大法院409号会議室
- 法院行政処長の委嘱後、第1回会議を進行
今後の運営日程及び方式
- 2015年7月第2回会合においては、国際裁判部の設置等を議論する予定
- 2015年10月まで集中的に議論し、最終議決を導出する予定である。
以上
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