知的財産ニュース 特許庁、「知的財産データの対民提供戦略」を発表

2015年1月2日
出所: 韓国特許庁

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これからは一般国民の誰もが特許庁で生産され、または海外で確保した大量の知的財産データ(特許・実用新案・デザイン・商標に関するデータ)に一層容易にアクセスし、新しい事業モデルを創出したり、国内・国外の特許紛争に有効に対応したりするなど、多様な形で活用する環境が提供される。

特許庁は、知的財産データ活用の大衆化を目指して、国内・国外データの入手・公開の拡大、不備のない高品質データの提供、知的財産データに対するユーザのアクセシビリティの向上、民間サービスと重複する特許庁サービスの整備を柱とする「知的財産データの対民提供戦略」を発表した。

同計画は、国内・国外データの入手段階から対民公開以降の最終活用段階を包括する特許庁データ公開政策の総合的な改編方向を示している。

特許庁は、同戦略を滞りなく推進し、「一般国民」は特許庁が提供する高品質データを低価格で簡単に利用できるようにする一方で、「企業」は知的財産を基盤に成長の推進力を確保できるようにして、知的財産を背景に創造経済の基盤を確固たるものに築いていく計画だ。

推進戦略別の詳細な計画は以下のとおりだ。

国内・国外知的財産データの入手および公開の拡大

まず、海外知的財産データの入手相手国を大幅に拡大し、特に民間の需要が多い高付加価値の半加工データ(法的状態、特許ファミリーなど)を外国特許庁から積極的に確保し、国民に提供する方針だ。

特許庁は、今年26カ国の特許庁とデータ交換に合意し、現在46カ国からデータを入手しているが、2017年まで計66カ国に拡大する計画だ。現在、データの対民提供にも合意した国は米国、日本、中国など7カ国に過ぎないが、2017年までに30カ国に拡大する。

特許庁が海外データの確保に乗り出した理由は、最近海外に進出する韓国企業が増加したことで、現地における特許紛争への対応および競合企業の知財権戦略の把握などのため、当該国の特許データの確保がいつにもまして重要性を増しているためだ。

不備のない高品質データの提供

知的財産データに含まれた権利情報および技術情報は、産業界において技術開発(R&D)、競合企業の分析、特許価値評価、技術取引などを行うには欠かせないという点で、データの正確性はいくら強調しても強調しすぎることはない。

特許庁はこれまでデータ品質の改善に向けて、データ品質管理に関する専門組織の運営、品質管理システムの構築などを通じて国内公共機関としては最高レベルに至っている。

しかし、依然として改善の余地は多く、現在99.6%のデータ品質を2017年まで99.8%水準に引き上げ、国民に無欠なデータを提供する計画だ。

そのため、データ品質管理システムを高度化してデータエラーの発生を予め遮断するほか、過去のイメージ公報データ(‘48~’98、約40万件)の全量を2017年までテキストに変換するなど、データ漏れや不備点などを年次的に整備する。

知的財産データに対するユーザのアクセシビリティを向上

これからは、誰でも知的財産データに簡単にアクセスして利用できるよう、データ利用の壁も一層緩和される。

現在、特許庁の知的財産データは、ユーザが直に特許情報ウェブサービス(KIPRISplus)のDBにアクセスして利用するOpen API(Open Application Programmer Interface)方式で提供されているが、これは電算知識が必要なだけでなく、有料で提供されているため、一般ユーザの自由な利用には多少の制約があった。

このような不便を軽減するため、ウェブダウンロード方式およびウェブ上のデータを相互連結して提供する最新技術のLOD(Linked Open Data)方式を導入し、希望するデータを簡単に利用できるよう、サービス機能を大幅に改善する。

また、データ提供の手数料もユーザの負担を大幅に減らす方向に全面改編される。

月1,000件以下を利用する小容量ユーザは、無料で利用することができる。その以上の大容量ユーザは、年間費用249万ウォンで全てのデータ(現在計30種)を無制限で利用できる。

これまでユーザは各データ別に平均220万ウォンを支払わなければならなかったが、今回の措置によって、安価な単一料金で全てのデータを購入できるため、購入者別に約63%の費用削減の効果が得られると見通しだ。

民間サービスと重複する特許庁の直接サービスを整備

特許庁は、あらゆる知的財産情報の対民サービスを介して民間市場をけん引する呼び水の役割を担ってきたが、最近は民間市場が定着してきたことで、付加価値型のサービスは民間に委ね、特許庁は基本サービスの提供に集中するとの計画だ。

これによって政府と民間が共生する健全なデータ市場環境を作り、民間企業間のサービス競争を誘導して国内の知的財産情報産業が市場原理によって成長するよう働きかけるとのことだ。

まず、特許庁の対民サービスの原則、直接サービスの整備基準および手続きなどを盛り込んだ「知的財産データの対外提供指針(訓令)」を作成し、特許庁と民間企業間のサービス衝突の可能性を持続的に点検し、措置を行う計画だ。

まず、最近民間企業から要請があった特許検索サービス(KIPRIS)および特許価値評価サービス(SMART3.1)に対する整備に乗り出す。

KIPRISは、2015年から民間と衝突の可能性がある付加機能の追加開発を控え、基本サービスに集中する計画だ。SMART3.1は、民間サービスが市場に定着するまで維持するが、短期的にはSMART3.1の整理されているデータのみを提供し、民間企業の競争力向上を後押しする。

同戦略の施行によって、今後は知的財産データに対する国民のアクセシビリティおよび活用性が向上し、知的財産情報の大衆化の実現にもう一歩近づける上、国内の知的財産情報サービスの市場もさらに活性化すると見られる。

特許庁のイ・ジュンソク次長は「今回発表した戦略を滞りなく推進し、一般国民が低価格で高品質データの提供サービスを享受することができると思う。知的財産データの有効な活用による政府3.0および創造経済の実現に向けて、これからも国民の意見を聴取して実効性のあるデータ公開政策を積極的に打ち出していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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