知的財産ニュース デザイン無効審決、不注意による事前公開が原因

2015年12月15日
出所: 韓国特許庁

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スマートフォンケースを生産・販売するA社は、2011年10月にアップル社i-Phone4Sの専用ケースを開発した。このケースを特許庁にデザイン登録出願するかしないかを巡って社内で議論を重ね、2012年8月になって出願した。5カ月後の2013年1月にデザイン登録証を受け、順調に営業活動を進めていた。

しかし喜びも束の間、2014年1月ライバル社であるB社から無効審判が請求され、2015年9月に登録無効となった。A社のデザインが無効となった理由は、出願を悩んでいた間にだれかによってインターネットブログに当該デザインが公開されたからだ。

同事例は、最近特許審判院で審決されたデザイン登録無効審判事件を再構成したものである。デザインは発明特許と同様、特許庁に出願する時点ですでに同じ又は似たようなデザインが存在すると登録を受けることができない。

仮に登録を受けたとしても後でライバル社から無効審判を提起される恐れがある。特に、自社の管理不注意による公開である場合は登録無効の可能性がはるかに高いが、このようなケースのほとんどは出願したデザインと同じデザインが公開されているためだ。

特許審判院によると、ここ6年間このような事由により登録無効になったデザイン20件のうち、社員の故意又はミスによるネット公開(11件)が最多となり、取引先等、第3者による公開(5件)、展示会や広告し等による公開(4件)が後を継いだ。

もちろん救済方法がまったくないわけではない。特許庁に登録出願する際、又は無効審判の際に公開していないものとして扱うことを主張することができる。ただし、これは公開された日から6カ月以内に出願された場合にのみ主張可能という制約がある。そのため、登録出願前に公開されないよう気をつけると同時に、できるだけ早く出願することが重要だ。

※新規性喪失の例外主張:デザイン登録出願前に公開されたデザインに対し、審査・審判段階で問題されるのが心配される場合、出願書・審判答弁書等にその趣旨を主張し、証明書類を提出すれば、公開されないものとして扱う制度だ。ただし、公開された日から6カ月以内の出願に限り、6カ月が経過した場合は救済を受けることができない(デザイン保護法第36条)

特許審判院デザイン部門のソン・ヨンシキ審判長は「不注意で知財権登録が無効になることは、オウンゴールすることと同じようなことだ。社員に対する教育や取引先との守秘協約等の措置が必要となる」と言い、企業のセキュリティー管理の重要性を強調した。

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