知的財産ニュース パテントトロール、韓国企業への攻勢持続

2015年5月1日
出所: 韓国特許庁

4999

2015年第1四半期の国際特許訴訟の動向を分析した結果、韓国企業がパテントトロール(NPEs)により国際特許訴訟を提起される件数が増加傾向にあることが分かった。

特許庁と韓国知識財産保護協会が集計した資料によると、今年第1四半期に韓国企業がパテントトロールにより提訴された件数は45件と、前年同期比18%増加した。一方、韓国企業の国際特許訴訟件数は54件と、前年同期比11%減少した。韓国企業の国際特許訴訟件数が減少したのに対し、パテントトロールによる提訴件数はむしろ増加している。

これはパテントトロールの係わる訴訟件数全体が増加に転じたためと見られる。2014年のパテントトロール関連の訴訟件数は2,856件で、4,400件だった2013年に比べ大幅に減少した。しかし、2015年第1四半期の訴訟件数全体は1,114件で、前年同期比約49%増加した。

技術分野別で見ると、情報通信(33件)、電気電子(8件)分野において韓国企業へのパテントトロールの攻撃が強いことが分かった。特に、情報通信分野に提訴件数の73%が集中しており、当該分野の輸出企業の格別の注意が求められる状況だ。

パテントトロールとの特許紛争による被害を予防するためには、企業レベルでの事前の備えが欠かせない。特許庁は、韓国企業の特許紛争への対応力を強化させるために、国際知財権紛争情報ポータル(IP-NAVI、www.ip-navi.or.kr)を通じてパテントトロール活動の動向や国際特許紛争の動向などの情報を提供している。

また、同サイトを通じて、国家別知財権保護ガイドブックや海外知財権判例情報など、韓国企業の知財権保護に向けた情報を総合的に案内し、各種支援事業の申請に関する情報も提供している。

特許庁産業財産保護政策課のソ・ウルス課長は「パテントトロールとの紛争においては迅速な対応は重要だ。IP-NAVIが提供する知財権紛争情報が効果的な紛争対応のためのガイド役を担うと思われる」と述べた。

特許庁は韓国企業の特許紛争動向を持続的にモニタリングすると同時に韓国企業の海外知財権保護に向けた様々な支援事業を拡大する計画だ。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195