知的財産ニュース 現場診断技術に関する出願が増加

2015年7月1日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、病院に行かなくても現場で直ちに疾病や病院菌を診断・検査することができるPOC(Point of care、現場)診断に関する特許出願が増加傾向にあることを明らかにした。

POC診断とは、少量の試料を使用して医療スタッフの助けなしに、現場(患者のいる場所)で速やかに検査をすることであり、感染症の拡散防止に向けた最善の解決策とされている。

また、POC診断を利用すれば、低費用で糖尿病、心血管疾患等の慢性疾患患者に対する常時管理が可能となり、高齢社会における喫緊の課題である医療費の削減にも大きく貢献するものと期待されている。

特許庁によると、POC診断関連の出願は1986年~2001年に年平均19件に止まっていたが2002年以降、年平均288件へと急増した。これは、重症急性呼吸器症候群(SARS)や新型インフルエンザ等、人の生命を脅かす新たな感染症の出現、予防・健康管理中心への医療パラダイムの変化を狙ったものとみられる。

POC診断の主な技術分野としては、微細流体工学、血液利用技術、機器素材及び製造技術等があり、このうち、微細流体工学と血液利用技術の出願が大きな割合(全体の91.4%)を占めている。

出願人別にみると、韓国人による出願が増加傾向にあり、2009年以降は50%以上を占めている。また、企業による出願は減少しているのに対し、産・学・研及び個人による出願は増加基調にある。一方、国内多出願人はサムスン電子(211件)、韓国科学技術院(103件)、電子通信研究院(89件)の順となっている。

市場調査機関、リサーチ&マーケットによると、POC診断関連市場は年平均8.4%の成長を続けており、2020年には約300億ドル規模に成長すると見込まれるが、これは、体外診断分野全体の17%に当たる。この分野で最近注目を集める企業の一つであるセラノス(Theranos)は、1滴の血液で30種以上の疾患の検査ができる技術を開発し、企業価値が90億ドルに達すると評価されている。

特許庁のイ・ジンウク課長は「新しい疾病の診断や予防中心の医療市場が拡大する中、検査の適時性や医療管理費用の削減というメリットから、POC診断技術へのニーズが増えている。POC診断技術は、今のところ市場支配者がいない上、応用分野が拡大している成長期にあるため、世界市場を取り込むためには、果敢な研究投資や特許の確保、商用化による競争力の強化が求められる」と強調した。

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