知的財産ニュース IPリーダーズ・フォーラムで特許制度改善策を議論

2015年11月2日
出所: 電子新聞

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チェ・ドンギュ特許庁長は、IPノミックスと韓国知識財産サービス協会の共催で開かれた「IPリーダーズ・フォーラム定例会」で、グローバルスタンダードから遅れている各種特許制度に対する改革の意志を明らかにした。

IPリーダーズ・フォーラム定例会写真

チェ庁長は「これまで特許庁は、特許審査処理期間の記録短縮に取り組んできた。その結果、今年の特許・実用新案審査処理期間の平均は11カ月となり、目標の11.7カ月を超過達成した」と評価した。

しかし、スピード戦にこだわったせいか、本質的制度改善はできなかったというのがチェ庁長の診断だ。短期的成果を挙げるために、多くの資源と人員が投入されたためだ。

チェ庁長は「これからは記録短縮にこだわらず、長期的な観点から制度改善に取り組む」と意気込みを述べた。チェ庁長が最優先課題として挙げたのが「特許無効審判制」の改善だ。

特許無効審判制は、特許の有効・無効を判断する制度で、最近は特許紛争で相手の特許を武力化する手段としてよく活用される。

チェ庁長によると、国内特許無効審判における無効化率は75%を上回る。去年53%だったのが増加し続けている。20%である日本よりもはるかに高い。

チェ庁長には、無効化率が高い理由として現行の3審制を挙げた。特許審判院が担当する1審だけが事実審で、技術検討はここでのみ行われる。特許法院が担当する2審と大法院所管の3審は法律審であり、1審の技術検討結果は考慮しない場合が多い。

当該特許が1審で技術的「進歩性」を認められても、結局法律的解釈により無効化されるケースが多いとチェ庁長は指摘した。また、「特許は技術領域にあるだけに、無効審判も技術的「進歩性」が主な基準になるべきだ」と主張した。

フォーラムの共催側である韓国知識財産サービス協会のペク・マンギ会長も「高い無効化率により、最近特許無用論が取りざたされている」とし、「無力感を解消するためにも、現行制度の改善が急がれる」と述べた。

一方、フォーラムに出席したLG電子のキム・ジュソブ常務は、国内特許の質向上の必要性について話した。特許審査官は図面等の書類ばかりにこだわらず、「本当の技術」を見分けることが求められるというのが彼の主張だ。

これに対し、チェ庁長は「特許も現場が重要だ」とした上で「東大門市場の箸」を例に挙げた。箸の特許を徹底して審査するためには、特許図面ばかり分析するより市場で実物を見るべきというのだ。

同フォーラムには国内の弁理士・弁護士等、業界専門家約30人が参加し、特許制度の改善案や官民協力等について議論が行われた。

ヤン・ソヨン記者 syyang@etnews.com

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