知的財産ニュース 特許庁、韓国特許英文抄録事業に民間による参加を大幅に拡大

2015年4月6日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、国内の知識財産(IP)翻訳産業の育成と翻訳品質の向上に向け、これまで主に公共機関で担当していた韓国特許英文抄録(KPA)事業において民間翻訳専門業者の参加割合を大幅に拡大する計画だ。

※KPAは、海外審査官および一般ユーザが韓国の特許技術を容易に把握できるよう、英文の抄録を製作・普及する事業

KPA事業は、韓国特許情報院が担当してきたが、昨年から民間の翻訳専門業者に一部を開放(翻訳物全体の約1割)した。事業評価の結果、翻訳の品質が改善されただけでなく、優秀であることが明らかとなり、今年は翻訳物全体の3割水準に拡大し、参加企業も2カ所に拡大運営する予定だ。

KPAは、海外特許庁の審査官を含め、海外の一般ユーザも容易に活用できるよう、海外の検索サービスによって提供され、海外における国内特許技術の保護を強化し、グローバル紛争の予防に貢献してきた。

※KPAは、海外の国際調査機関が特許を審査する際に必ず調査するPCT最少文献において、韓国特許文献が含まれるようにする基礎要件となっている。

※国際調査機関(ISA):特許協力条約の総会(PCT総会)が一定の要件を満たした各国の特許庁または政府機関の中で国際調査ができるように指定した機関

※PCT規則第34条:公式言語が韓国語でない国際調査機関は、韓国の特許文献に対する英文要約書が存在する場合に限って国際調査に韓国特許文献を盛り込む義務が生じる。

昨年、特許庁は、KPAの品質向上に向けて翻訳物の1割を民間のIP翻訳専門業者を介して遂行した。ネイティブ水準の検収割合を55%まで引き上げた上、最終的な検収段階で特許審査部署の英文エディターによる品質評価を追加するなど、様々な取り組みを進めた。

その結果、海外審査官およびユーザを対象とするKPAの品質満足度は2013年上半期の78.70点から2014年下半期には82.76点に上がるなど、持続的に向上された。

特許庁は、今年もKPAの品質向上に向けて、民間IP翻訳業者に対する品質競争の導入、未検収物に対する品質評価などを実施する予定だ。

品質競争を介してKPA翻訳を担当する2社を選定し、25%前後の翻訳物を配分した後、翻訳品質評価の結果が優れた業者に対して5%前後の翻訳を追加提供する。さらに、遂行業者の翻訳納品物に対する品質評価などを経て、民間委託率を徐々に拡大していく予定だ。

現在、翻訳を遂行する民間のIP翻訳専門業者を選定するための事前規格が公開されており、調達の入札によって5月中に翻訳遂行業者が選定される見通しだ。

情報顧客支援局のチャン・ワノ局長は、「KPAの製作に民間IP翻訳業者が参加することでIP情報サービス産業の活性化を図り、良質のKPAを提供することで海外における韓国特許の活用と保護が一層強化されると見られる」と述べた。

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