知的財産ニュース 上下階の騒音に関する特許出願が増加

2015年9月30日
出所: 韓国特許庁

5131

上下階の騒音による隣人トラブルが社会問題となっている中、「上下階騒音の低減技術」に関する特許出願が増加している。

特許庁によると、上下階騒音の低減技術に関する出願は2012年141件、2013年285件、2014年311件と、着実に増加している。

上下階騒音の低減技術は、床を通じて下階に響く衝撃音を低減させる技術のことを指す。この技術には、多様な素材の緩衝材を床スラブの上に積層する「多層緩衝構造」と床に空気層を作り下階に伝わる衝撃を分散させる「二重床構造」の2種類がある。多層緩衝構造の場合は、施工方法が単純で経済的であるものの効率が低い。一方、二重床構造の場合は、効率は高いが、床が厚くなり施工方法が複雑という特徴がある。

集合住宅における上下階の騒音に関する法的基準は2005年から続続的に強化されてきた。

最近では、騒音の大きさを制限する性能条件及びスラブの厚さを規定する施工条件をすべてクリアさせることで騒音防止に取り組んでいる。

しかし、新たな基準が適用される前に建てられた集合住宅の場合は、上下階の騒音問題が深刻だ。これと関連し、改装・改修の際に必要となるリモデリング型騒音低減技術も出願されている。強化された法的基準の適用前に施工されたマンションをリモデリングする際、リモデリング型騒音低減技術へのニーズが高まるものとみられる。

この他にも、計測及び通信技術を利用して騒音を低減させる技術も出願されている。下階に計測機を設置して基準値を超える騒音が発生すると、上階に設置される表示部から警告音が鳴るという仕組みだ。この技術は、隣人と直接対面しなくても騒音に対する警告ができることから、騒音トラブルの予防につながるものと期待されている。

また、各世帯に設置される計測器から受信した騒音データを分析して騒音を起こした世帯に警告信号を送ったり、これを貯蔵する技術も出願されている。この技術が適用されれば、上下階の騒音によるトラブルが発生したときに、客観的な資料として活用することができると期待される。

特許庁の関係者は「上下階の騒音が社会問題化しているだけに、建設会社も騒音低減技術の開発及び適用に大きな関心を持つべきだ」とし、「今後、従来の騒音低減技術の他にも、騒音の計測及び警告技術が開発される等、騒音を減らせる様々な技術が出願されることが予想される」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195