知的財産ニュース 特許庁、9月1日から米韓特許共同審査制度を施行

2015年8月28日
出所: 韓国特許庁

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自動車バンパー生産業者のハン代表は、2010年にA国とB国に多機能性バンパー発明に対する特許を出願した。2011年、A国からは特許を受けたが、B国からは同一の発明が存在するとの理由で受けられなかった。
ハン代表は、担当弁理士からB国が特許を拒絶したときに使った同一の発明により、A国においても特許が無効になる可能性があるとの話を聞いて戸惑った。

韓国特許庁は、2015年9月1日から米韓特許共同審査制度を施行すると発表した。

特許共同審査制度とは、特許を認定するかどうかを判断する際の決定的要素となる先行技術文献を両国間で共有し、これを基に速やかに審査をする制度であり、
両国の調査結果を事前に共有して審査に活用することで、特許権の法的安定性を向上させるたけでなく、当該申請件に対する優先審査により、両国における特許権の早期取得が可能になる。
2013年の特許関連国際会議で、韓国側が特許品質向上を目的に初めて提案した制度であり、韓国と米国に同一の発明を特許出願した出願人の申請を前提条件としている。

特に、米国は世界最大の特許市場であり、韓国企業にとって最大の特許紛争相手国であることから、特許共同審査の役割が期待される。また、同制度を利用すれば、最大4千ドルの米国優先審査申請料が免除され、韓国企業の米国特許取得にかかる時間と費用が軽減される見通しだ。
※2007~2012年の韓国機魚国際特許紛争件数:米国709件、日本152件、ドイツ65件、台湾45件、スウェーデン23件、英国18件、カナダ15件の順(出処:特許庁)

チャン・ワンホ特許審査企画局長は、「特許庁は、総合的な特許品質向上対策を講じ、進めており、その一環として容易に無効にならない強い特許を付与する韓特許共同審査制度を施行する」とし、「今後、中国や欧州、日本など、韓国企業からニーズの高い国ヘと制度が拡大されるよう努力する」と述べた。

詳しい内容については、特許庁のホームページ(韓国:www.kipo.go.kr外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 米国:www.uspto.gov外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます) に開設された特許共同審査ウェブページにて確認することができる。

お問い合わせ先:韓国特許庁の特許審査制度課(042-481-5400)

資料:特許共同審査制度(CSP、Collaborative Search Program)の概要

1.推進背景

複数の国に出願された同一の発明について、ある国では特許が付与され、他の国では特許が拒絶されることが発生している。
韓国特許庁が初めて特許庁間審査協力課題として提案

2.CSP概要

  • 概念
    出願人が申請する場合、両庁は先行技術調査報告書を相互交換し、審査に活用
  • 審査手続き
    図:審査手続きフロー

3.CSP施行による期待効果

  • 特許庁間の審査見解を事前に共有する実質的な業務協力を通じ、特許権の安定性が改善する。
  • CSP施行庁が拡大される場合、米国や中国等主な輸出国に進出した韓国企業の特許早期取得が期待できる。

4.推進日程

~2015年8月
:2015年9月施行を目途に、インフラを構築
2015年9月
:米韓CSPを施行
継続
:中国、欧州等とCSP施行を推進中

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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