知的財産ニュース 安全事故防止に向けたイヤホンの開発が活発化

2015年8月4日
出所: 韓国特許庁

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イヤホンをつけたまま歩行又は運転をすると、周辺の状況が認知できず、事故や犯罪に遭う恐れがある。最近、このようなリスクを技術で減らそうと、安全事故防止に向けた、いわゆる「賢いイヤホン」に関する特許出願が増えている。

特許庁によると、イヤホンの使用による安全事故を予防するための特許出願件数は、2012年に11件、2013年に20件、2014年には32件へと増加傾向にあり、このうち、約30%が特許審査を経て、特許権を取得した。このような分野は、日常生活の中から得たクリエーティブで身近なアイデアが特許発明につながりやすい分野であり、そのため一般の人による出願割合も相対的に高い。
※賢いイヤホンの特許出願:一般人(個人)63%、企業・研究所29%、大学等8%

特許出願された「賢いイヤホン」発明の主な内容を見ると、
カナル型イヤホンを主な対象としており、イヤホンに外部の音が入ってくる通孔(音の孔)を形成し、必要※※に応じて、ユーザーが通孔を開閉して外音の大きさを調節する技術

※カナル型イヤホン:イヤホンのスピーカーから出力される音を効果的に伝えるために、耳の中に密着して押し込む方式のイヤホン

※※街を歩く時など危険要素のある所では開き、家の中等静かで危険でない空間では閉める等して外部の音の大きさを調整

  • 周辺の音を感知するマイクセンサーを装着して一定以上のデシベルの音響周波数の特性を分析し、注意を要する状況になると、イヤホン出力音を下げ、警告音又はメッセージを発信する技術
  • 複数のマイクセンサーを利用し、外音が聞こえてくる方向を認識し、ユーザーにその方向を振動や音で知らせる技術
  • 視野確保が難しい左・右・後ろの方向をヘッドホンに装着されている映像カメラで撮影した映像を分析し、車の進入等、危険な状況を知らせる技術
  • 距離感知するセンサーや光感知センサーを利用し、暗い所でも、人やモノのアクセスを認知し、危険な状況と対処方法を知らせる技術等

上記のような関連技術はその機能が一層高度化・知能化しており、実用性を備えた一部特許発明はすでに商用化し、製品として発売されている。

特許庁のマ・ジョンユン電子部品審査課長は「賢いイヤホン」を使用すれば、歩きながらスマートフォンを使う若者に起こりやすい安全事故を予防できると同時に、視覚障害者にとっても大きな助けとなる」とし、「生活家電やIT分野では、だれでも身近なアイデアで賢いイヤホンのような発明が可能で、事業化もできるので、生活の中で発明やアイデアの創出にもっと関心を持ってほしい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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