知的財産ニュース 米特許庁、アップルの中核特許「丸角」を無効化

2015年8月18日
出所: 電子新聞

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米特許庁は、アップルとサムスン間のi-phoneデザイン特許侵害訴訟の中核である「丸角」デザイン特許、D677特許を無効化した。この特許(米特許D618677)は、アップルとサムスン間の特許訴訟控訴審の結果(今年5月)、サムスンが支払わなければならなくなった5億4千800万ドル(6千477億ウォン)規模の賠償金の中核となる特許だ。

Phone Arena とFoss patentsは8月17日(現地時間)、米特許庁の中央特許再審部が8月5日、2013年サムスンが請求したとみられるi-phoneの丸角に関するデザイン特許に対し、このような再審決定を下したと報じた。

これは最終審判でない前提下で出された決定であるが、アップルに特許が再付与される可能性は非常に低いというのが専門家の分析だ。

図:アップルロゴ・サムスンロゴ

米特許庁がアップル-サムスン間のi-phoneデザイン特許侵害訴訟の中核である「丸角」デザイン特許、D677特許を無効化した。これにより、アップル-サムスン間の特許訴訟は、サムスンにとって都合のいい方向に向かったと分析されている。

特に、今回無効化されたD677特許は、現在係留中のアップル-サムスン間の特許訴訟において中核となる特許であるため、サムスンは今後アップルとの訴訟で有利になるものとみられる。

Foss patentsは、米特許庁のこの決定は長引いた再審査の末出されたものであり、裁判よりはるかに意味のある決定であること、米特許法の自明性及び発表された特許内容と関連のあること等を挙げて、アップルに不利な決定だと分析している。

今回の判決は、米連邦巡回裁判所控訴審が今年5月、サムスン側にアップルに対する賠償金3億8千万ドルを減軽してから3カ月となる時点で出されたのである。

Phone Arenaは、米特許庁がアップルのデザイン特許権を無効化する決定を下したことで、サムスンは約5億ドルの特許賠償金を軽減できるようになったと報じた。

D677と知られているアップルのデザイン特許は、アップルのi-phoneのオリジナルデザインを保護するためにサムスンを提訴した際に使用した特許の一つだ。

今回の決定で米特許庁は、アップルがオリジナルi-phoneを保護するために特許D677に頼ってはいるものの、同特許が提出されたのは2008年11月であることに注目した。これは、オリジナルi-phoneが発表された2007年1月9日からかなり過ぎた後のことだ。

報道によると、アップルが特許D677に対しこのような主張をしたのは、2007年1月に出願された2つの特許(D104、D204)と関連があったからだ。しかし、米特許庁は、「アップルがサムスンにより違法使用されたと主張したデザインは、上記の2つの特許出願内容に含まれていなかったため、このD667デザインは前に特許出願した特許日により特許権利益を得ることができない」と判断した。


米特許庁が8月5日に無効化したi-phone丸角に関するデザイン特許(D618、677)

米特許庁がアップルの特許権に対し立場を変えたもう1つの重要な理由は、先行技術の存在だ。再審文書では、LG電子の特許(米特許D546,313)、シャープ電子の日本特許(JPD1235888)、他に日本デザイン特許(JPD1204221)及びサムスンの米デザイン特許(D546,313)等がアップルの特許D677無効化の根拠として示された。

今年5月米連邦控訴裁判所は、サムスンに課されていた賠償金9億3千万ドルのうち、3億8千200万ドルを減らした。この際、裁判所はアップル製品デザイン固有の特徴を意味するトレードドレスにおいて、サムスンによる特許侵害を認めなかった。これにより、サムスンがアップルに支払わなければならない賠償金は5億4千800万ドルに減ったのである。

今回米特許庁が、アップル-サムスン間の特許訴訟の重要な争点となる特許D677に対し無効判決を下したことで、今後上告審又は破棄差戻し審判におけるアップル立場は大きく弱くなるものと予想される。

イ・ジェグ記者 jklee@etnews.com

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