知的財産ニュース 素形材産業の溶接分野、特許の国際標準化で市場開拓

2015年6月2日
出所: 産業通商資源部

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韓国の中小企業が保有している環境に優しい鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)の特許4種が、韓国では初めて(世界4番目)国際標準に登録された。

産業通商資源部の国家技術標準院は、韓国の中小企業(ヒソン素材、中央金属など)が持っている環境に優しい鉛フリーはんだの特許4種を、韓国で初めて国際標準に登録した。
※ISO9453 (はんだ合金規格-化合成分の組成と形状)

家電や自動車部品などをはんだ付けする際、有害物質である鉛(Pb)の使用を制限する環境規制が世界的に強化されており、鉛を含まない鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)の使用が求められている。
EUによる自動車部品に対する鉛使用禁止規制が、スマートカーや電気自動車の開発で増加している電装品にまで拡大しており、関連市場は今後さらに拡大するとみられる。
※EU有害物質使用制限指針(RoHS):家電製品に鉛など6大有害物質の使用を禁止(2006年6月施行)
※EU自動車廃車処理指針(ELV):自動車部品に鉛など4大有害物質の使用を禁止(2002年7月)、鉛の場合は電装品に規制拡大(2016年1月予定)

国家技術標準院は、中小企業が開発した鉛フリーはんだの関連特許を国際標準に提案(2011年)するとともに性能に関する客観的な検証資料を提供する他、国際会議への参加を通じて特許素材の優秀性を訴えるなどして、国際標準への登録を実現させた。

今回の国際標準登録により韓国は、米国、日本、ドイツに続き、鉛フリーはんだの標準特許を保有する第4番目の国となった。

はんだ市場では国際標準で検証された素材が好まれるため、特許技術が国際標準に登録されることでその標準特許を保有している企業の売上も伸びると期待されている。
※韓国はんだ市場は、約3千億ウォン(2014年)規模で、シェアは日本(40~50%)、韓国(30~40%)、ドイツ・中国(10~30%)

また、国際標準に特許とともに企業名が登録されるため、製品に対する信頼度が上がるだけでなく企業ブランドの認知度も向上し、輸出拡大の効果も期待できる。

自動車部品における鉛使用禁止規制が一般部品から電装品にまで広がる中で、韓国企業が今回標準特許を取得したことでグローバル技術規制への対応も容易になった。

国家技術標準院のイム・ホンジン機械素材建設標準課長は「韓国が素形材産業の一つである溶接分野で初めて標準特許を保有することができたことは、当該企業のブランド価値を向上させ、世界における韓国素材産業の存在感を高める上で大きな意味を持つ。現在国際標準化機関で議論中の特許24種に対しても、国際標準に登録できるように積極的に対応し、新たな標準特許も引き続き発掘して国際標準に反映させる計画だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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