知的財産ニュース 雨水管理技術・海水淡水化技術に関する特許出願が急増

2015年6月9日
出所: 韓国特許庁

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最近、ソウル市廣津區にあるAマンションでは雨水の67%が利用されていることが伝えられ、話題を呼んだ。現在、雨水の26%だけが利用されている中、雨水をより多く貯蔵していつでも使えるようにする技術が注目を浴びている。

特許庁によると、深刻化する水不足解消の対策として、雨水管理技術と海水淡水化技術に関する特許出願が急増している。雨水管理技術の特許出願件数は2005年の95件から2014年の186件へと、約2倍近く増加したことが分かった。この中で、雨水を貯める雨水貯蔵技術と除染物質を除去する雨水処理技術を組み合わせきれいな生活用水に変える特許は、2005年の9件から2014年49件へと5倍以上の増加となり、大きな関心を集めている。

代表的な特許技術としては、降り始めの雨に除染物質が最も多く含まれているということに注目し、汚れた降り始めの雨水は流し、きれいな雨水だけを貯蔵する「無動力雨水貯蔵装置」やまず樹木周辺の地中に雨水を通過させて除染物質を取り除いた後、きれいになった雨水を地中に浸透させる技術などがある。特に、「無動力雨水貯蔵装置」は特許庁から技術の優秀性を認められ、2014年度特許技術賞を受賞した。

雨があまり降らない離島地域や上下水道施設がしっかり整っていない地域などにおける食水・生活用水確保技術に対する関心も高い。それは、海水をきれいな水に変える海水淡水化技術である。

特許庁によると、海水淡水化技術に関する特許出願は2005年に18件に留まっていたが、2014年には91件と約5倍増加した。技術別にみると、費用負担の大きい蒸発方式よりは、海水の塩を膜で漉す逆浸透法に関する特許の割合が2010年以降75%にまで増えた。これは、経済性の高い逆浸透法設備の増加及び大型化によるものみられる。

特許庁の関係者は「韓国は、国連によって水不足国に分類されており、毎年捨てられる雨水量が水資源全体の42%に上るため、水資源の安定的供給を果たす上で、雨水と海水を活用した水資源確保が欠かせない。そのためには、捨てられる雨水の量を減らし、低費用で海水をきれいな水に変える技術を開発することが求められる。このような技術開発は、水資源の確保だけでなく水資源市場の活性化にもつながり、韓国企業の海外進出にプラスになると思われる」と述べた。

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