知的財産ニュース 2016年度特許庁予算、5,253億ウォンに編成

2015年12月11日
出所: 韓国特許庁

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2016年度の特許庁予算は前年比0.3%増加した5253億ウォンに編成された。
※特許庁予算:(2015年) 5,235億ウォン → (2016年) 5,253億ウォン(0.3%増)

来年度の特許庁予算は、知的財産を基盤とする創造経済の実現に向け、高品質審査・審判サービスの提供、海外知的財産権の保護、研究・開発の効率性向上に重点が置かれた。

高品質審査・審判サービスの提供

審査・審判サービスの提供

(2015年) 765億ウォン → (2016年) 806億ウォン(5.4%増)

審査・審判業務の支援に必要な予算は、前年比5.4%増の806億ウォンに編成した。

主な増額要因としては、先進国並みの審査品質を目指し、商標・デザイン審査における請負規模を拡大したことと、
※商標調査分析:(2015年) 37億ウォン → (2016年) 45億ウォン(22.3%増)
※デザイン調査分析:(2015年) 22億ウォン → (2016年) 25億ウォン(13.4%増)

先行技術検索の効率性向上に向け、既存の国際特許分類(IPC)に分類された特許文献を先進特許分類体系(CPC)に再分類する作業にかかる予算を大幅拡大したことがある。
※特許文献のCPC再分類:(2015年) 8億ウォン → (2016年) 35億ウォン(333.3%増)
※CPC(Cooperative Patent Classification):特許文献を26万のコードに細分化することで、特許先行技術検索の効率性を高められる(※IPCのコードは7万個)

海外知的財産権の保護強化

研究・開発の効率性向上

(2015年) 352億ウォン → (2016年) 388億ウォン(10.4%増)

海外における韓国企業の知財権紛争の増加を受け、韓国の中小・中堅企業がこのような紛争に効果的に対応できるよう、知財権紛争コンサルティング(260社→345社)と知財権訴訟保険支援(100社→160社)のための予算を大幅拡大した。

また、中国等に輸出する韓国企業のブランドを保護するため「Kブランド保護基盤構築」に予算5億ウォンを新たに編成した。

さらに、中国西部地域に進出した韓国企業の知財権紛争を現地で支援できるよう、中国の西安に海外知的財産センター(IP-DESK)を新たに設置するための予算も2億ウォン確保した。
※海外知的財産センター(IP-DESK)の設置現況:6カ国11カ所:中国(北京、上海、靑島、廣州、瀋陽)、タイ、ベトナム、米国(ロサンゼルス、ニューヨーク)、ドイツ、日本

政府及び民間の研究・開発(R&D)の効率性向上

研究・開発の効率性向上

(2015年) 352億ウォン → (2016年) 388億ウォン(10.4%増)

政府及び民間のR&D効率性向上に向けた予算は、前年比10.4%増の388億ウォンに編成された。

政府のR&D成果が優秀特許の創出につながるよう、R&D結果物の特許設計プロセスを支援する「政府R&D特許設計支援」事業(22億ウォン)を新設し、公的機関の保有特許の活用度を高めるため、大学・公的研究機関が保有している特許を診断し、特許管理戦略に関するコンサルティングを提供する「公的機関保有特許診断」事業(4億ウォン)も新設した。

また、韓国の中小・中堅企業が世界市場を主導するような強い知財権を確保できるよう、知財権観点のR&D戦略の策定を支援する「IP- R&D戦略支援」事業も前年比31.0%拡大した。
※IP- R&D戦略支援:(2015年) 124億ウォン → (2016年) 163億ウォン(31.0%増)

その他

特許取引専門官への支援拡大

(2015年) 6.3億ウォン → (2016年) 11.9億ウォン(88.8%増)

特許技術の導入を希望する企業を対象に未活用特許の取引や活用を促進させるため、特許取引を仲裁する特許取引専門官を大幅増員するとともに、創造経済革新センターと連携し知的財産の取引を活性化させる計画だ。
※特許取引専門官:(2015年) 9人 → (2016年) 17人

大学・公的研究機関の特許技術の移転支援の拡大

(2015年) 10億ウォン → (2016年) 15億ウォン(50.0%増)

大学・公的研究機関の未活用特許技術をより積極的に活用するため、大学・公的研究機関が個別的に保有している特許技術を製品単位でグループ化し、企業の製品開発ニーズに応じた技術移転ができるよう支援する「製品単位ポートフォリオ構築支援」予算を前年比50.0%増額した。
※製品単位技術移転課題:(2015年) 10個 → (2016年) 20個

知的財産教育先導大学の拡大

(2015年) 24億ウォン → (2016年) 30億ウォン(25.0%増)

企業からの知的財産専門人材へのニーズが増加することを受け、大学における知的財産教育の拡大に向け大学が知的財産専門教授を採用し、知的財産正規教科目を開設できるよう支援する「知的財産教育先導大学支援」に3校を追加し、そのための予算を前年比25.0%増額した。
※知的財産教育先導大学:(2015年) 12校 → (2016年) 15校

チェ・ドンギュ特許庁長は「2016年度の予算は、厳しい財政状況にもかかわらず、知的財産分野の重要性を認められ、特許庁の重要推進事業費用を大幅増額した。来年度予算が知的財産基盤の創造経済を実現する上で実効性のある投資になれるよう、努力する方針だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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