知的財産ニュース 韓国の特許情報システムがアフリカ大陸へ

2015年4月24日
出所: 韓国特許庁

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韓国の特許情報システム「特許ネット」がアフリカ大陸に本格的に進出する。

特許庁とKOICAは、アフリカ地域の知識財産権機構であるARIPOの特許情報システムを構築し、24日(現地時間)ジンバブエの首都ハラレにて記念式典を開催する。

ARIPOの特許情報システムの構築事業は、韓国特許庁、ARIPO、WIPO間のMOUが締結された以降、KOICAが2013年から580万ドル規模の「ジンバブエ・ARIPO特許行政の電算インフラ改善事業」を推進し、今回実を結ぶことになった。

※事業遂行者:韓国特許情報院、シリウスソフト

ARIPOの特許情報システムは、従来の紙基盤から紙のない(paperless)業務処理方法への転換を中核としている。その中でも電子出願、オンラインでの手数料納付、大衆向け検索システムなど、一般ユーザ向けのサービスが向上するだけでなく、先行技術DBの構築および検索の自動化、ARIPOと加盟国間の連携モジュールなどを通じて内部行政の効率性も大きく向上されると見られる。

KOICAによると、同改善事業によりARIPOの公報発行にかかる業務処理時間が従来の3週間から2日に短縮した。特にガンビア(Gambia)の場合、出願および文書の交換をオンラインに転換したことで、出願距離を10,000kmから0kmに短縮することができた。

同システムの開始を記念する式典には、ジンバブエのEmmerson Mnangagwa副大統領、ARIPOのFernanado dos Santos事務総長をはじめ、ウガンダ、モザンビーク、タンザニアなど、ARIPO加盟国の特許庁長が参加する予定で、アフリカ諸国の特許行政情報化に対する高い期待と関心が反映されている。韓国側では特許庁情報顧客支援局のチャン・ワノ局長、KOICAのチェ・ソンホ地域事業理事、クォン・ヨンギュ駐ジンバブエ大使などが参加する。

特許庁はKOICAとともにこれまで途上国の特許行政の現代化に向けた様々な国際協力事業を推進してきたが、今回ARIPOの特許情報システムの構築は、2011年のモンゴル、2013年のアゼルバイジャンに次ぐ3回目の海外進出事例となる。

膨大なエネルギー・資源の保有量および市場潜在力により、アフリカ大陸が浮上している中、同事業はこれまで農業、建設インフラなどに集中されていた対アフリカ協力分野を知的財産、電子政府など高付加価値の新成長エンジン分野に広げたという点で大きな意味がある。今後も域内諸国に拡散される起爆剤として作用すると期待されている。

また、中小のシステム開発業者(SI)が開発に参加しているため、中小企業がアフリカに事業を展開する土台になると思われる。

特許庁のチャン・ワノ局長は「特許庁はKOICAとの協業を介して、韓国の優秀なIT技術を活用した途上国の情報システム構築を支援し、知識財産行政の韓流を拡散することで、国のプレゼンスの向上に貢献していきたい。中小企業の参加による海外展開も積極的に支援する計画だ」と述べた。

KOICAのチェ・ソンホ理事は「同事業によりアフリカ地域の均衡成長に向けた域内知財権の好循環システムを整えた。また、改善された特許行政システムがARIPOだけでなく、19の加盟国に拡散しているため、さらなる波及効果が期待される」とコメントした。

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