知的財産ニュース 特許庁、「無代理の個人出願に対する専担審査」を試行的に実施

2015年3月19日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、個人発明家の斬新なアイデアがちゃんと特許権を獲得するように積極的な支援を行う「無代理の個人出願に対する専担審査」プログラムを試行的に実施すると発表した。

法律代理人である弁理士の支援なく、個人発明家自ら特許出願(無代理の個人出願)をする場合、斬新なアイデアがあっても特許明細書に特許を受けようとする技術や権利などを正確に表現できない場合が多く、特に拒絶理由が些細なものでも補正書の提出が間に合わず、拒絶された割合も72%で、代理人がある場合の14%に比べると非常に高い。今回のプログラムは、社会的弱者である個人発明家の斬新なアイデアが簡単な手続きも進めなくて特許を受けられず、死蔵されるケースを防止することを目指している。

※補正書の未提出率:代理出願14%、無代理出願72%

特許庁は、個人発明家が特許分野に対する専門性不足によって斬新なアイデアがあるにもかかわらず、特許を受けられない問題を解決するため、無代理の個人出願が多い技術分類の審査官のうち、審査歴の豊富な審査官8人を選定した。このベテラン審査官が担当する技術分類は、調理器具、浴室設備、道路、家庭用雑貨、電気コネクター・ソケット、セメント・セラミック、食品調製、筆記具の分類で、日常生活と密接な関連があって個人出願が非常に盛んになっている。

※個人出願の割合:8技術分類の平均44.2%、庁全体18.8%

専担審査も一般的な特許審査と同じく、出願された発明が先行技術に比べて発展されているか否かを意味する進歩性を中心に審査する。ただし、個人が弁理士の支援なく直接出願する場合、保護を受けようとする発明の核心事項を特許請求範囲に十分に盛り込めない場合が多々あるため、出願された内容全体において斬新なアイデアがあるかどうかを細かく判断する予定だ。アイデアが斬新で、拒絶理由が充分補正できる場合には、審査官が直接特許請求範囲を作成して提示するか、補正の方向性に関する相談を提供し、良質の特許として権利化されるように支援する予定だ。もし、深刻な拒絶理由があって補正しても特許を受けられない場合は、国内優先権主張出願など、発明を改良して出願する方法を提示する予定だ。

特許庁関係者は、「IP金融が活性化しているこの時期に無代理の個人出願に対する専担審査を通じて、社会的弱者である個人発明家の斬新なアイデアがちゃんと権利化され、経済的利益につながれば、個人発明家による良質の特許が創業および雇用の創出に貢献するはずだ」と述べた。

同プログラムは、今年9月まで主に生活発明を審査する特許庁特許審査1局で試行的に運用される予定だ。特許庁は、無代理の個人出願に対する専担審査の効果が立証され、個人発明家のニーズが高まれば、同プログラムを従来のポジティブ審査と連携して審査局全体に拡大する計画だ。

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