知的財産ニュース ジェネリック医薬品市場、「無限競争」に突入

2015年3月11日
出所: デジタルタイムズ

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今年に入って、製薬・バイオ業界に「ジェネリック医薬品」が話題となっている。製薬業界は、今月15日から施行される「(医薬品)許可特許連携制度」に基づいてジェネリック市場の再編が予想される中、バイオ業界では、バイオシミラー市場の競争が本格的に始まると見通している。

許可特許連携制度が施行されれば、ジェネリック医薬品の許可を得るとき、オリジナル医薬品の特許権者が訴訟を提起すれば、9カ月間販売ができない。しかし、特許無効審判等において一番早く勝訴した製薬会社には9カ月間のジェネリック医薬品独占販売権が与えられる。現在のジェネリック医薬品は、オリジナル商品の特許が満了すれば、数十種類の商品が一斉に放出され、市場を分け持つ場合がほとんどだ。

しかし、制度の導入後には、特許の取得に成功した製薬会社が独占販売で市場を先取りし、大きな収益を確保できる。

製薬業界では、これから積極的な特許取得と技術開発に取り組み、ジェネリック医薬品の競争力をグローバル水準に高める機会を得られると期待している。

許可特許連携制度などの制度を活用してグローバル製薬会社に成長した会社がグローバルジェネリックトップの「テバ」。テバは、米国で積極的な特許訴訟によって「ファースト・ジェネリック」戦略を展開した結果、2012年に23兆ウォンの売上を出し、グローバル製薬会社トップ10に名を上げた。

市場調査機関によると、グローバルジェネリック市場は、2011年の268兆ウォンから2017年に518兆ウォン規模に倍増すると見込まれる。そのため、最近、ジェネリック専門会社のホスピーラを18兆ウォンに買収したファイザーなど、グローバル製薬会社もジェネリックの競争力強化に乗り出している。

国内でも、セルトリオン製薬が1,500億ウォンを投じて、年間約100億錠の生産が可能な国内最大規模のジェネリック生産施設を建てるなど、投資を増やしている。

業界のある関係者は、「膨大な投資がかかる新薬開発を控えて、グローバル競争力を備えたジェネリック会社を立ち上げるのも、国内製薬産業の発展を導く一因になる。独占販売権制度が国内製薬会社の特許競争力を高めるチャンスだ」と述べた。

ジェネリック医薬品だけでなく、バイオ医薬品のジェネリックであるバイオシミラーも、年初からバイオ業界の話題に上げられている。

最近、米FDAが初めてバイオシミラー商品の販売を許可したことで、世界最大規模のバイオ医薬品市場である米国市場が開放された。その影響で、世界初の抗体バイオシミラーの「レムシマ」と第2号の「ハジュマ」を開発した国内バイオシミラー先頭企業であるセルトリオンの株価は高止まりしている。

サムスングループも国内と欧州にバイオシミラー「SB4」の許可申立書を提出し、4商品の商業化に向けた臨床を進めるなど、スピードを上げている。そのほか、東亜ソシオホールディングスは、バイオシミラー事業部を分社して集中度を上げる計画で、バイオベンチャー企業のエイプロジェンも最近、レミケードのバイオシミラーの生産を開始した。

KDB大宇証券のキム・ヒョンテ研究員は、「国内バイオシミラー業者は、海外マーケティングパートナーを確保しており、グローバル臨床段階を終了したか、後期段階に入っているため、他国企業より一歩早く米国市場に進出できると見られる」と分析した。

※用語説明:(医薬品)許可特許連携制度=米韓FTAの合意事項の一つで、ジェネリック医薬品の許可とオリジナル医薬品の特許権行使を連動させる制度。これまで国内製薬会社は、オリジナル商品の特許にかかわらず、ジェネリック医薬品の許可を得て、特許侵害の有無は当事者間の訴訟によって解決してきた。しかし、これからは、製薬会社がジェネリック医薬品の許可を申し立てる際、特許権者にこれを通知しなければならず、特許権者が特許訴訟を提起すると通知時点から9カ月間、ジェネリック医薬品の販売が禁止される。

同制度は、オリジナル特許を保持している多国籍製薬会社に有利なため、ジェネリック医薬品を中心に事業を展開している国内製薬会社に配慮して「優先販売品目許可制度」を導入している。これによって、一番先に特許挑戦(特許無効審判等)で勝訴する製薬会社は、9カ月間ジェネリック医薬品を独占販売することができる。

ナム・ドヨン記者

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