知的財産ニュース NFC(近距離無線通信)に関する特許出願が急増

2015年9月21日
出所: 韓国特許庁

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スマートフォン決済手段、データ転送等に活用される近距離無線通信技術であるNFC(Near Filed Communication)に関する特許出願が急増している。

※NFCは、10cm前後の近い距離内で機器間の「接続」だけでデータを転送する通信方式。 例)スマートフォンに搭載されているNFC技術を利用し、地下鉄・バス料金の決済や自動車及び玄関ドアの開閉等、様々なサービスを提供している。

特許庁によると、過去6年間(2010~2015年8月)NFC特許出願は、2011年から着実に伸びているという。

年度別に見ると、2010年78件、2011年430件、2012年645件、2013年883件、2014年1,001件のNFC特許が出願されており、今年も8月時点で696件が出願さる等、増加が続いている。去年(1,001件)は2010年(78件)に比べ12.8倍増加した。

NFCは、機器間通信をする際に複雑な設定が要らない上、アクセスするのに0.1秒もかからない簡単な技術で、スマートフォンに搭載される交通カードと同じように一回のタッチだけでデータのやり取りができる。

出願動向を見ると、NFCは10cm以内の近い距離内でのみ通信が可能なため物理的セキュリティが高いことから、初期は主にモバイル決済サービスに活用されてきたが、現在はNFCを搭載したカメラ又はプリンタ等の電子製品の情報交換のためのデータ転送に利用されている。

技術類型別では、カード決済技術が26.6%、タグ技術が30.9%、カメラ・プリンター・アクセサリ技術が11.7%を占めており、NFC特許出願がモバイル決済手段からデータ転送分野等他の分野へと拡大されていることが分かる。

出願人の現況を見ると、企業が全体の62.9%、個人出願が21.6%、研究機関が9.2%、外国人出願が6.3%の順となる。

企業による出願の割合が高いのは、通信会社・金融会社の主導でMFCが簡便決済サービスに積極活用され、データ送受信装置がなかった電子製品にデータ転送のためのNFC技術を組み込んだからだと分析される。

最近では、NFCタグにスマホをかざすと、タグに記録されている情報を読み込んだり、関連ウェブサイトに移動する「スマートポスター」を利用した広告・PR分野技術も増えている。また、一回のタッチで名刺を転送できる「スマートアクセサリ」等、NFCを基盤とした製品が次々と発売されている。

※スマートポスターとは、従来のポスターを利用した広告のようにポスターの情報をNFCタグに記録したものであり、スマートアクセサリとは、内装されたNFCチップで情報のやり取りができるアクセサリのことを言う。

特許庁の関係者は「通勤時に交通カードを使い、食事や買い物する際にはタグから情報を得る。ビジネスには電子名刺を使い、家に帰ってはスマートフォンで玄関ドアを開けるなど、NFCを利用したサービスはすでに日常生活に身近なものになりつつある。NFCに関する出願は、今後さらに増加すると予想される」との見通しを示した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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