知的財産ニュース ユーザー・ターゲティング広告関連特許の出願動向

2015年11月6日
出所: 韓国特許庁

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インターネットやスマート機器の普及のようなIT(Information Technology)環境の大衆化により、広告のパラダイムが変化している。

昨年の世界広告市場は4,800億ドル規模で、このうち伝統媒体の広告市場は前年比1.6%増加したのに対し、オンライン広告市場は13.5%成長した。[1]
※伝統媒体広告:TV、ラジオ、新聞、雑誌等

さらに最近は、勝手にポップアップされるオンライン広告に対するユーザーの抵抗感を解消し、広告の効果を最大化できるユーザー・ターゲティング型広告が注目を集めている。

グローバル企業、フェースブック(facebook)は、2012年から「カスタムオーディエンス(Custom Audiences)」[2]を利用してターゲット広告を提供しており、グーグル(Google)も来年初め頃に「ユーザー・ターゲティング広告サービス」を開始する計画を明らかにした。このような市場の動きは特許出願にも反映されている。

特許庁によると、2012年大幅増加したオンライン広告方式に関する特許出願は、ここ3年間その勢いを維持している。特に2015年上半期時点で682件が出願されており、年末まで約1,350件以上出願されると予測される。

特に、オンライン広告に関する特許のうち、ユーザー・ターゲティング広告の場合は、消費者参加・体験中心のマーケティングが強調され始めた2006年、特許出願件数が前年(2005年)比2倍近く増加した。また、2015年には上半期時点で74件が出願されており、年末まで約150件が出願される見通しだ。

このようなターゲティング広告はかつて、性別や年齢、趣味等、ユーザーが入力するデータを活用したり、携帯から受信したユーザーの現在位置情報を活用する等、単純なデータの活用がほとんどだった。

しかし最近では、ユーザーが入力したキーワードに適合した広告を表示したり、ユーザーの商品購入履歴から購買傾向に合う商品を表示する広告のように、より精密にユーザーを選定できる方法が提示されている。

注目すべきなのは、広告が単純な情報を提示することに止まらず、ユーザーの感性認識[3]や体験仮想空間の実現[4]等のような最先端技術が加わり、多様な情報の提供に向け広告手法が進化していることである。

特許庁の関係者は「オンライン広告が溢れている中、ユーザーの関心をもらうための努力の一環としてユーザー・ターゲティング広告は今後も発展を続け、これに伴い特許出願も増加し続けると思う」と述べた。


注記

[1] 市場調査会社PWC調査資料
[2] ユーザーの氏名や電子メールアドレス、携帯番号等の情報を利用し、フェースブックのニュースフィードにユーザーの嗜好に合う広告を表示する広告の仕組み
[3] ユーザーの動き、表情、脈拍等から運動量及び興奮、憂鬱等の感情の状態を総合的に認識する技術
[4] 仮想現実(VR-Virtual Reality)を通じてユーザーが直接着用できる仮想スペースを提供する技術

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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