知的財産ニュース サムスン-LG、商標権先取りも競争力…テレビ商標の主導権争い

2015年3月18日
出所: 電子新聞

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サムスン電子とLG電子間のテレビ商標の主導権争いが激化している。4K高画質(UHD、3840x2160)のテレビブランドは、これまで各社の固有商標で二分化していたが、最近はその境界も崩れつつある。商標権の先取りがより幅広いマーケティング機会を保障する上、競合会社に対するけん制手段として活用されるためだ。

LG電子は、12日、特許庁に「SUPER UHD TV」という商標を出願した。今月4日には「PRIME UHD」「LUHD」「SMART UHD」など、UHDに関する商標3件を特許庁に受け付けた。LGが2012年に初のウルトラHDテレビを発売して以降、国内で「UHD」の商標を確保したのは今回が初めてだ。先月16日に出願した「SuperウルトラHDTV」のグラフィック商標から色彩のパターンを若干変えたバージョンも同日に受け付けた。


LG電子が2月16日に出願した「SuperウルトラHDTV」のロゴ(図=特許庁)


LG電子が3月4日に出願した「SuperウルトラHDTV」のロゴ。2月に出願したロゴに比べると色彩の配置に差がある。(図=特許庁)

サムスン電子の「UHD」ガードも堅く、今年1月に発足したUHD業界協議体の「UHDアライアンス」の商標として「UHDA」を決め、1月22日にロゴとともに出願した。先月26日には、LG電子のひとり舞台である有機発光ダイオード(OLED)を搭載した「Super UHD OLED」など4種類を登録した。


サムスン電子が1月22日に出願した「UHDアライアンス(UHDA)」のロゴ(図=特許庁)

2012年8月に有機ELテレビを出願してから約2年半ぶりの有機ELの登録で、注目を集めた。これに対して、サムスン電子映像ディスプレー(VD)事業部のキム・ヒョンソク部長(社長)は、「近い将来に発売する商品を予め登録したに過ぎない」とコメントしただけだが、業界では「サムスンの有機ELテレビの再発売説」が話題となった。

LGの専有物とされた「ウルトラ(Ultra)」も2件含まれた。サムスン電子がUHDに関して「ウルトラ」を使用したのは今年が初めてで、業界の暗黙的なルールであった「サムスン‐UHD」、「LG‐ウルトラHD」の分離が意味をなくしつつある様子だ。

しかし、両社が出願した全ての商標が最終登録されるわけではない。誰もが使える一般名詞の場合、特定企業による独占的権利が行使されないためだ。


LG電子が2013年1月30日に出願した「Ultra HDTV」のロゴ。一般名詞のウルトラHDの特性を理由に登録が棄却された。(図=特許庁)


LG電子が2013年2月22日に出願した「Ultra HDTV」のロゴ。1月に出願したものとは違ってUltraを大文字で表記したが、一般名詞のウルトラHDの特性を理由に登録が棄却された。(図=特許庁)


LG電子が昨年5月19日に出願した「4K 3D+ULTRA HDTV」のロゴ。現在、公告段階にある。(図=特許庁)

LG電子は、2013年1月に「Ultra HDTV」を出願したが、登録が拒否された。これを大文字に変えてULTRA HDTVに改めて提出したが、結果は同じだった。それから5カ月後に4K Ultra HDTVも棄却された。同社は昨年5月、4K 3D+ULTRA HDを出願してようやく公告段階に至っている。ウルトラ(Ultra)HDがUHDとともに国際電気通信連合(ITU)が規定した4Kの画像度を意味する一般名詞だからだ。


サムスン電子が昨年2月20日に登録した「UHD Upscaling」のロゴ。UHD画質の改善機能に対する商標先取りの色が濃い。(図=特許庁)

競合会社に対するけん制手段として使われる場合もある。画質を4Kレベルに変換するアップスケーリングは、サムスン電子が昨年2月「UHD アップスケーリング(Upscaling)」に出願して商標登録された。同時期、欧米においても登録され、サムスンテレビの画質改善機能を意味する固有名詞としてマーケティングに活用されている。LG電子は、「4Kアップスケーラー(Upscaler)」、「Uクリアー」などで対応している。

ソ・ヒョンソク記者

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