知的財産ニュース CO2削減技術に関する特許出願が急増

2015年12月2日
出所: 韓国特許庁

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地球温暖化による冬場のエルニーニョ現象が注目される中、地球温暖化の解決に向けた技術開発に取り組んできた結果、二酸化炭素削減技術に関する国内特許出願が10年前と比べ11倍以上増えた。

特許庁によると、過去10年間二酸化炭素削減技術に関連する国内出願は計926件と、2005年には15件に過ぎなかったが、2010年に107件へと急増し、その後増加し続け2014年には160件となった。

これは、地球温暖化の加速化により気候変動への対応が地球レベルの課題となり、地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素削減を迫られるようになったことを受け、二酸化炭素削減技術に関する国内特許出願が急増したことと考えられる。

代表的な二酸化炭素削減技術としては、火力発電所等で発生する二酸化炭素を捕集して回収及び移送し地層等に貯蔵する二酸化炭素の捕集及び貯蔵技術(CCS:Carbon Capture&Storage)と、捕集された二酸化炭素から付加価値の高い化学製品や燃料を直接生産する二酸化炭素転換技術(CCU: Carbon Capture & Utilization)が知られている。

過去5年間(2010年~2014年)出願された二酸化炭素削減技術のほとんどは、捕集及び貯蔵技術に関するもの(79%、741件のうち584件)で、転換技術に関する特許は相対的に少ないが、捕集及び貯蔵技術は減少し続けている(2010年89%、2014年71%)のに対し、転換技術は増加傾向(2010年11%、2014年29%)にある。

出願人別に見ると、外国人に比べ韓国人の特許出願が相対的に多い(85%、741件のうち632件)。特に韓国人出願の54%(632件のうち342件)が大学・公的研究機関の出願となっており、大学・公的研究機関が韓国の二酸化炭素削減技術に関する研究を主導していることがうかがえる。

一方、企業による特許出願は2011年(53.9%、128件のうち69件)以降減少し続け(2014年27.4%、135件のうち37件)、同分野における研究開発で韓国企業は後れを取っているといえる。

特許庁のキム・ギリョン金属審査チーム長は「二酸化炭素削減技術に関する国内研究者の活発な特許出願は、気候変動に対応する革新技術の確保に大きく貢献できると思う。二酸化炭素の削減と未来市場の先取りを同時に実現するためには、戦略的な技術開発及びオリジナル技術の確保が求められる」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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