知的財産ニュース 特許庁、トレードドレスの機能性審査を強化

2015年7月31日
出所: 韓国特許庁

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今後、商品の機能に欠かせない形状や色彩等を持つトレードドレス(Trade Dress)については、商標登録を受けることが難しくなる見通しだ。

特許庁は、トレードドレスの機能性審査を強化することを骨子とする「立体商標等の機能性審査ガイドライン」を策定し、8月の審査から適用すると30日に発表した。

※トレードドレス(Trade Dress):形や色彩、大きさ等、商品やサービスのイメージを表す外形や飾りを意味し、代表的な例には、他の飲料水瓶と区別される括れた腰の形やウェーブ模様を持つコカコーラ瓶がある。

これまで、国内ではトレードドレスの機能性に係わる判例がなかった上、機能性に関する細部の審査基準に不備があり、主に自他商品を区別する要素である識別力判断を中心に商標審査が行われた。

※商標の識別力:自分の商品と他人の商品を区別できるようにする弁別力のことを意味する。一般的に、商品の形状や品質、効能等を直接表示するものは識別力のないものと見なす。

実際、立体商標制度が導入された1998年から今年6月までの間、1,128件の立体商標が出願され、263件が登録されたが、機能的形状を理由に登録が拒絶されたケースは去年の10件を含め、ここ3年間13件に止まっている。

特許庁は、トレードドレスが商標として出願されると、識別力だけでなく、機能性の有無に重点をおいて審査を行う計画だ。識別力のない商標であっても使用による識別力を得た場合は、例外として商標登録を受けられるが、機能性が支配的である場合には商標登録を受けることはできない。

非機能的な要素が一部含まれている場合でも、全体的に機能性が支配的だと判断されれば、商標権を付与しない方針だ。機能的形状や模様等に独占権を与えると、同種業界の自由な競争を制限する結果を招きかねないからである。

特許庁のこのような方針は、サムスンとアップルのスマートフォンデザイン特許紛争において、米国の連邦巡回控訴裁判所からi-phoneの外観は機能性を持つためトレードドレスとして保護を受けることはできないという判決が言い渡されてから出されたもので、注目を集めている。

昨年5月、米国の連邦巡回控訴裁判所は、サムスン電子がi-phoneの外観(トレードドレス)を盗用したというアップルの主張に対し、i-phoneの外観の角丸四角形は製品の携帯性や耐久性を向上させ、平たい四角形のディスプレー画面は画面の大きさを最大化する等、機能性を持つため、トレードドレスとして保護を受けることはできないとの判決を言い渡したことがある。

特許庁のチ・ギュワン商標デザイン審査局長は「最近、様々なマーケティング手法が試され、製品の形状や色彩、ひいては音や香りまで商標登録を受けて活用しようとするケースが増えている」とし、「ただ、権利の確保ばかりにこだわるよりは、競争秩序を乱さない範囲で、差別化されたデザインを持つブランドや製品の開発に取り組む戦略が必要だ」と述べた。

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