知的財産ニュース 耐震補強技術に関する特許出願が増加傾向

2015年6月18日
出所: 韓国特許庁

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ネパールで8千人以上の命を奪った震度7.8の強震が発生した後、被害のほとんどが耐震設計されていない老朽化した建物で発生したことが明らかになり、従来の建築物の耐震性能を高める技術への関心が高まっている。

特許庁によると「耐震関連特許の出願件数」は2005年~2009年の5年間で280件だったが、2010年~2014年のこの5年間は487件に増加した。中でも、従来の建物の耐震性能を向上させる「耐震補強技術」は2005年~2009年の70件から2010年~2014年には287件に急増した。

建築物の耐震設計基準に関する法令は1988年に初めて導入され、6階建て以上又は延べ面積10万m2以上の建築物に限って耐震設計が義務付けられたが、2005年になって3階建て以上又は延べ面積1千m2以上の建築物にその基準が変わった。

耐震関連規定が適用される前に建てられた建物の場合、耐震設計もされていない上に老朽化も進んでおり、地震に対する脆弱性の増加という問題がある。

こうしたことから政府は、耐震関連規定を適用されない建物について2011年に「従来の公共施設に対する耐震補強基本計画」を策定し進めているが、従来の公共施設の耐震率は40%に止まっているのが現状だ。

その中でも、特に学校施設の耐震率は22%に止まっており、耐震補強に対する持続的な関心が求められる。

地震に対する抵抗力を強化させる耐震補強技術には、柱と梁の接合部を増加させることで建物の強度を高める強度増進型工法、柱と梁に鋼板や炭素繊維シートを貼り付けて建物の急な崩壊を防止する軟性増進型工法、振動エネルギーを吸収するダンパーシステムを設置して建物に働く地震荷重を減らすエネルギー消散型工法がある。

最近では(2010~2014年)、エネルギー消散型工法が耐震補強技術の特許出願全体の50%を占めているが、これは同分野において従来の技術を改善して耐震性能を向上させる改良発明の出願が活発になっているからだ考えられる。

特許庁の関係者は「韓国でも2000年代に入って震度5以上の地震が3回も発生していることを考えると、韓国に地震による被害は生じないとは言い切れない。学校を初めとする公共施設に対し、早期に耐震補強を進めることで万が一の事態に備えると同時に、より効果的な耐震補強技術の開発を急がなければならない」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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