知的財産ニュース 3Dプリント産業の発展戦略を策定

2014年4月23日
出所: 未来創造科学部

4587

製造業の改革や創造経済に基づいた新市場の創出、そして社会全体においてパラダイムの新たな変化をリードしていくため、未来創造科学部と産業通商資源部は、「3Dプリント産業発展戦略」を共同で策定した。

同戦略は、「2020年をめどに3Dプリントのグローバルリード国としての飛躍」をビジョンとして掲げ、需要連携型3Dプリント成長基盤の構築、ビジネス活性化の支援、技術競争力の確保、法制度の見直しなどにおいて4大分野、11大の重点課題を選定し、推進する内容が盛込まれている。

第1に、3Dプリントの活用基盤の構築に集中的に取組む計画である。
3Dプリント需要の創出に向け、中小企業など従来の産業現場において3Dプリント技術の試行的な利用を製造工程の見直しにつなげいくよう、総合的な支援基盤を構築し、
「無限創造室」や「セルフ製作所」を開設して国民も3Dプリントを体験できるよう支援する計画である。
さらに、人材層を分厚くするため、水準別の教育プログラムを運営し、マイスター高校などを対象に実習用の設備普及も推進する。

第2に、企業の自生的な力を強化し、初期市場を活性化する。
新市場の創出に向け、ビジネスモデルの発掘・拡大、3Dプリントコンテンツの生産・流通の環境の構築を図り、創業支援から、有望なビジネスモデルであれば海外進出も積極的に後押しする計画だ。
また、3Dプリント産業の新陳代謝を図るため、様々な情報を共有するほか、特にデザインなどの他分野のシステムと連携が可能なコンテンツ流通フラットフォームの構築を推進する。

第3に、2020年までに2012年の最先端国比で現在6.3%にすぎない特許出願を20%にまで引き上げるという目標を掲げ、3Dプリントのオリジナル・融合技術の開発を後押しする。
開発される技術の市場性を事前に確保するため、未来の技術需要などを反映した中長期の技術戦略ロードマップを策定し、設備、素材、ソフトウェアなどの各分野別に相互連携型の技術開発R&Dを推進する。
特に、設備の運用及び設計ソフトウェアなど、R&Dを通じた技術資産情報は、ソフトウェアバンクに登録し、技術移転や事業なの支援などの面から研究結果の活用を促す計画だ。

最後に、3Dプリント産業の振興及び逆機能発生の防止に向けた法・制度の見直しも進める計画である。
3Dプリント産業の振興と、知的財産権の保護に向けた模倣品の防止、違法な武器類の製作など、逆機能を回避するため、法律・制度の見直し事項を発掘し整備する。
また、設備の性能やソフトウェアの品質などの標準や品質評価体制を確立し、情報セキュリティのための分野別ガイドラインを作ってし提示する予定である。

韓国政府は、この推進戦略を通じて、2020年には設備、素材、ソフトウェアなどにおいて2013年比5社のグローバルリード企業の育成、2012年1.7%に過ぎないグローバル市場のシェア率の15%引上げという目標を達成できると考えられている。

未来部と産業部は、民間と政府の能力を結集するため、「3Dプリント産業発展協議会」や「3Dプリント産業発展推進団」を構成し、3Dプリント政策・課題の発掘、インフラ構築、企業の支援などに積極的に取組むことを決めた。

3Dプリント産業発展戦略に関する細部推進課題の要約

3Dプリントを活用した需要創出及び国内の設備・素材・ソフトウェア関連産業の成長を図るため、4大推進戦略と11大の細部推進課題を策定

製造産業の高度化及び国民の参加を促すための需要連携型の成長基盤を構築

企業の製造革新

産業現場で3Dプリント技術を試行的に適用し、該当事業に活用できるよう、総合支援基盤を確立
※「3Dプリント技術基盤の製造革新支援センター構築」事業(2014、20億ウォン)を遂行

  • 特定の拠点別3Dプリント工程全般(モデリングプリンティング後処理)に関する設備を統合構築し、中小企業に技術の導入やコンサルティングなどを支援
    全国の設備の状況及び関連の技術専門家などがインフラを活用できるよう、オンラインの情報提供システムを構築
    ※オンラインのシステムを活用させるため、中小ベンチャ企業を対象にオンデマンドモデル事業を推進
  • 3Dプリンター導入の必要性についてコンセンサスが形成されていない零細中小企業を対象に「訪れる試作品政策サービス※」運営
    ※3Dプリント設備を搭載した車両が現場を訪問、試作品などを製作

国民の参加を促進

一般国民のアプローチと使用上の利便性を踏まえた体験環境の構築及びコンテストの開催など、大衆の関心を向上

  • 科学館、図書館など「無限創造室」に3Dプリンターを普及し、一般人も創作体験できるセルフ製作所※を構築運営
    ※(1)科学館や博物館などの公共施設を中心に試行設置 → (2)アプローチしやすい住民センターなどを拡大
    無限創造室、セルフ製作所の相互の情報共有のための地域拠点として創造経済革新センターの中に国民参加ネットワークを構築運営
  • 3Dプリントの優秀な活用事例を発掘するため、「3Dプリント創意アイデア開発コンテスト」の開催など、国民を対象にした広報を推進

人材育成

教育プログラムの運営・開発及び実習用の設備普及を推進

  • 3Dプリントを活用できる人的基盤を構築するため、基礎実務指導者のレベル別の教育プログラムを運営
  • 小中高、大学などにおいて3Dプリント関連の教育カリキュラムの開発、及び実務型の教育を推進
    ※無限創造室(小中高)、マイスター高校などを対象に設備普及を推進

3Dプリント活用の環境構築に向けたビジネス活性化を支援

モデルの発掘、事業化の支援

応用分野別の新市場創出のため、業界の情報交流の場を構築

  • 製品サービスに関するアイデアや事業計画を発掘し、事業化やマーケティング、経営コンサルティングなどを総合支援
  • 「3Dプリンティングコンファレンス」の開催、ビジネスレビュー発刊などの情報交流を支援

コンテンツ市場

3Dプリント用のデザインコンテンツ環境を構築するため、「3Dプリントデザインの流通フラットフォーム」を構築
※アップストアのように、フリーランス、デザイナーなどによるデザイン・設計創業の拡大及び3Dプリント産業の裾野を拡大

  • 今後、3Dプリントに関する各フラットフォームとの連携を支援するコンテンツ流通のフラットフォームを構築運営
    ※未来部(特許支援システム)、産業部(デザイン流通フラットフォームなど)、無限創造室及び自治体のシステムや創造経済タウンと連携

創業・グローバル化の支援

小資本の創業を支援するため、総合支援体制を構築するほか、有望なビジネスモデルのグローバル進出支援戦略を確立

  • 創業の全周期別における支援を行うため、3Dプリント専門創業の支援プログラムを開発し、特許情報の提供知財R&D戦略※を拡大推進
    ※特許支援センターを通じた国内外の特許現状の分析提供、先端素材部品の知財R&D戦略支援事業などに3Dプリンター分野を追加検討
  • 国別モデル別の海外進出のためのコンサルティング及びパートナーの発掘など、海外市場の販路開拓を支援(未来グローバル創業支援センターと連携)
    ※国同士の3Dプリントコンテンツの相互流通及び保護案を検討

産業のオリジナル・コア技術の保持及び世界市場で先行するための技術競争力を確保

戦略技術ロードマップを確立

3Dプリントの要素技術分野別の基礎・オリジナル研究から事業化まで全周期を考慮した細部開発戦略を確立

  • 国内産業の需要と連携(短期)、世界市場の先行(中長期)を目標に、融合複合型の技術を重点的に発掘して支援戦略を確立
    ※設備素材ソフトウェア分野の産学研の専門家及び需要企業として構成された作業組を運営

素材・設備の技術競争力の強化

素材・設備の連携型技術開発及び事業家のためのR&D課題を推進

  • 開発された素材を設備と連携し、事業化できる専用の素材設備の総合形技術開発、および次世代の創意的な新素材を開発
  • 高速高画像度多色多素材のプリンティング、ハイブリッド設備技術、スキャニングデバイスなどの産業用の設備技術開発を推進

SW技術の開発

国産のソフトウェア技術開発及び普及を促進

  • 3Dプリントのソフトウェアのオリジナル応用技術の確保など、ICT融合技術の開発及びインターネットモバイル連携などが可能なスマートソフトウェア技術開発を支援
    ※今後の設備運用ソフトウェアなど、技術資産情報をソフトウェアバンクに登録してその結果物の商用化を促進

プリント関連制度の見直し

法・制度の見直し

法・制度上の問題・見直し要因を発掘・整備し、標準と品質評価体制を確立

  • 3Dプリント産業の振興と逆機能(武器類など)の回避に向けた法律規制などの改善策を確立
  • 3Dプリント設備、素材及びソフトウェアなどの標準及び取引の流通環境の品質評価体制を確立

セキュリティ効果

3Dプリントシステム・サービスのセキュリティ強化

  • 情報保護のガイドライン策定及びシステムのハッキング防止技術の開発などを推進
    ※確立された課題のスムーズな移行及び新規の政策課題の発掘のため、省庁を超えた「3Dプリント産業発展協議会」を構成して運営

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195