知的財産ニュース 韓国の特許審査サービス、中東に輸出!

2014年2月7日
出所: 韓国特許庁

4500

韓国特許庁の特許審査サービスがアラブ連邦首長国(UAE)に輸出される。

韓国特許庁は、2月7日ソウルで開かれた「韓-UAE知財権分野の高官会合」で、知財権協力に関する了解覚書(MOU)を締結し、(1)韓国の特許審査官をUAEに派遣してUAE経済部※に受け付けられた特許出願の審査を代行する案、(2)韓国からUAEに出願された特許の審査を代行する案について合意した。
※UAEは現在、別途の特許組織を持っておらず、経済部で特許関連業務を担当している。

UAEに派遣される韓国の特許審査官は、特許審査業務のみならず、UAE特許庁の設立、特許関連の法・制度の設計、情報化、人材育成などに関するコンサルタントも同時に行う。さらに、韓国の先進的な特許行政システムも輸出する。関連コストはUAE政府が受け持つ。

今回の合意は、ポストオイル(Post-oil)時代を前に、知的財産を国の主要資源として見据えて知財権システムの構築を準備しているUAEが先進的な特許行政を運営している韓国に対し、特許審査の代行など知財権能力の向上支援を要請したことで行われた。

UAEは、急速な経済発展とともに特許出願も急増しており、着実な増加が見込まれる。一方で、まだ特許専門組織が整っておらず、特許審査はオーストラリア特許庁がごく一部を代行していた。

韓国特許庁は、今回の合意に基づき、今年の上半期中に細部日程をまとめて特許審査代行を開始する。これをベースとして長期的には、情報化や人材開発分野などUAEの知財権システムの構築に向けた総合支援策を設け支援していく計画だ。

韓国特許庁のUAE知財権協力事業は、資源大国であり、高付加価値知識サービスとされる特許審査サービスを韓国の貿易赤字国UAEに輸出できたこと、そして、原子力発電所、資源開発、建設など有形資源が中心だった両国の経済協力関係が無形資源の知財権協力にその裾野が拡大されたことに大きな意味がある。

理系出身の高級人材(特許審査官の45%が博士)で構成された韓国の特許審査官が外国の特許審査を代行することは初めてで、韓国の代表的な資源輸入国であるUAEの特許審査を代行することは、UAEをはじめ、中東地域における韓国の国家ブランド向上にも大きく貢献すると期待されている。

特に、今回の合意を通じて韓国の特許審査官をUAEに派遣する一方、国内でUAE特許出願の審査を代行することにより、特許の先行技術調査及び審査関連の質の高い雇用の創出※が見込まれる。今後の代行件数の拡大とともに、同協力モデルがほかの途上国に拡大したときには、相当な国内の雇用創出効果も期待される。
※UAEに派遣される特許審査官は5人、年間1000件のUAEからの特許審査を国内で代行したときに必要な先行技術調査人材11人及び国内審査人材1人

今回のUAEとの協力をきっかけに、ほかの振興国における韓国のPCT国際調査サービス及び特許行政システムの輸出にも弾みがつくと予想される。
※韓国特許庁は、海外企業のために年間約2000万ドルのPCT国際調査サービスを輸出しており、理系出身の高級人材300名以上の雇用創出につながっている。

一方、代表的な新興市場として急浮上しているUAEに進出、または進出予定の韓国企業が韓国の特許審査官の審査サービスを直接受けられ、韓国企業の中東内における知財権保護がより強化される見通しだ。最近、UAE政府が豊富な資本に基づいて海外企業と先端の科学技術研究所の誘致に積極的に動いていて、韓国特許庁の現地審査代行は、UAEと近隣の中東諸国の技術投資動向が迅速に把握できるほか、韓国の知財権システムの移植で、中東地域における韓国企業の特許領土の拡大にも大きく貢献すると期待される。

キム・ヨンミン長官は、「韓国特許庁とUAE経済部はMOU締結を通じて、韓国特許庁がUAEの特許審査を代行することに合意した。これは、1970年代、中東に建設労働者を輸出した韓国と中東との関係が高級な知識サービスを輸出する関係に変わるきっかけになるといえる。これに基づいて、ほかの途上国を対象とした知的財産行政韓流(K-IP MOVE)の拡大とともに、雇用外交を強化していく考えだ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195