知的財産ニュース ウィメプ、ブラックフライデーに関する用語独占…業界で議論

2014年11月12日
出所: デジタルタイムズ

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ソーシャルコマース企業「ウィメプ(We make price)」の過度な商標権の行使により、流通会社の間で不要な対立が生まれている。

12日、業界によると、ウィメプは「ブラックフライデー」、「ブラックプライス」、「ブラックプライスデー」など、計14件の商標権について登録を完了または進行している。

ウィメプが登録したブラックフライデーに係わる商標権は計4件で、そのうち1件は審査中にある。商標登録が完了した分野は、印刷物、出版物、コンピュータ・ソフトウェア、オンライン・オフラインでのチケット・割引クーポン販売代行、観光など、ほとんどの商品群に該当する。食品・日用品などについて審査中の1件も登録が完了すれば、事実上、ショッピング全分野に対する商標権を有することになる。「ブラックプライス」、「ブラックプライスで―」で登録した商標権も10件に上る。これでウィメプは、3用語を使用した商品名を独占して使うことができる上、他社が侵害した場合は提訴することもできる。

この件について、業界は「ブラックフライデー」のような一般名詞を商標として登録するのは納得しがたいという反応だ。ブラックフライデーは、米国内で年中最大規模のショッピングデ―を意味する用語で、韓国でも格安セールやプロモーションを行うときに使われてきた。そのため、業界ではウィメプの商標権登録が法律的問題はないとはいえ、業界全般で使っている一般名詞をあえて商標権として登録した行為について冷ややかな視線を向けている。

業界関係者は、「万が一、この事実を知らない零細業者が「ブラックフライデー」を使った商品を発売するとしたら、打つ手もなく追い詰まれるだけだ。ウィメプが何を狙ったかは知らないが、あえて無駄な対立を生みだす必要はないと思う」と批判した。

これに対して、ウィメプは「海外からの直接購買配達の代行サービスである『ウィメプボックス』というビジネスに必要な商標権登録に限定しているだけだ。競合会社のマーケティングを制限する意図などない。ブラックフライデーという用語を制限するわけでもない」と解明した。

競合会社が「ブラックフライデー・ショッキングセール」、「ブラックプライス・ホットディール」などの用語を使うことはできるが、「ブラックフライデー・ジーン」、「ブラックフライデーテレビ」などはウィメプのみ使えると説明している。

ただし、ウィメプが商標権を武器化したのは、今回が初めてではない。

昨年10月、Gマーケットが「スーパーディール」をオープンしたとき、ウィメプは11月、Gマーケットに対する内容証明を通じて、すでにスーパーディールは商標として登録されているため、法的措置を取らざるを得ないと告知した。「スーパーディール」は、2010年にウィメプが行った大規模プロモーションの名称で、2011年上半期にウィメプが45.4%の市場シェアを握る原動力となった。

しかし、Gマーケットがスーパーディールのイベントを開始した当時は、「スーパーディール」や「ホットディール」などの用語がネット通販業界で一般的に使われていた。さらに、その時はウィメプもスーパーディール・イベントを行っていない状況だった。結局、Gマーケットは、ウィメプによる商標権の行使に反対の意見を伝えた。数回にわたる論争と協議の末、両社いずれもスーパーディールという用語を使えるという結論を出した。その当時も業界では、商標権の行使が一般名詞においても可能なものかどうか、「スーパーディール」や「ホットディール」などが一般名詞に該当するかどうか、ウィメプの商標権行使が妥当であるかどうかについて激しい議論が行われた。

パク・ミヨン記者

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