知的財産ニュース 通販ヒット商品「キムチ保存容器」の特許が無効に

2014年7月17日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許審判院(院長ホン・ジョンピョ)は、(株)ロックスターが(株)イージーアンドフリーの「中蓋のあるキムチ保存容器」特許(実用新案登録第465164号)に対して提起した特許無効審判において、商品が特許出願前にテレビ通販を通じて公開されており、出願の際、公知例外の主張をしなかったため無効であると決定した。

イージーアンドフリーは2012年1月、テレビ通販を通じて広告した後、2012年10月に特許出願をしたが、イージーアンドフリーの特許は本人の商品だとしても特許出願の前にテレビ通販を通じて公開されたという証拠が明白である以上、特許要件を満たすことができず、無効であるという決定が下された。

今回無効となった「中蓋のあるキムチ保存容器」は、テレビやインターネット通販などで「黄土ヌルミ」、「キムチヌルミ」という商品名で販売され、人気を集めているヒット商品の一つだ。
※ヌルミ:押さえるという意味

「中蓋のあるキムチ保存容器」は、キムチの上に石を載せ、汁に浸らせることで空気による酸敗を防ぎ、キムチの新鮮な味を維持できるようにする韓国伝統の方法に着目して開発した商品。同商品は、中蓋の空気排出口と縁の構成を改善し、従来の商品に比べて空気の排出が容易で、中蓋の動きがスムーズにできるようになっている。(資料参照)

キムチ保存容器など、食品の密封容器の市場規模は、約3,000億ウォンに上ると推算されており、ロックアンドロック、サムグァン・グラス、コメックス、タパーウェアーなど約30の中小・中堅企業が競争を繰り広げているが、インターネットやケーブルチャンネルの拡大とともにテレビ通販番組などにより、特許出願の前に技術が公開させる可能性が増している。
※7月1日、(株)ロックアンドロックと(株)韓国陶磁器リビングの間で起こったデザイン無効審判においても、韓国陶磁器リビングのデザインが出願前日にネット上に公開されたことで、デザイン権が無効とされた。

一方、新商品を発売してから特許出願をしたとしても特許を受けられる制度は備えられている。つまり、特許を受けられる権利を持つ者が特許出願前に新商品をPR・販売した場合でも、1年以内に特許出願とともに公知例外の主張をすれば特許は受けられる。

キムチ保存容器など、食品の密封容器分野は比較的に技術が単純で、新商品に対する模倣開発が簡単だという特性を考慮して、商品の発売・公開前に必ず特許出願から急ぐ必要がある。不可避な事情により出願前に技術が広告などを通じて公開された場合には、特許出願の際に必ず公知例外を主張して、無効を予防することが重要だ。

一方、現在は公知例外の主張を必ず特許出願の際に行い、証明書類も30日以内に提出するよう義務付けられているが、特許庁では創意工夫のアイデアに対する保護を強化し、出願人の便宜を図るべく公知例外の主張や証明書類の提出時期を特許登録前までとする緩和策を検討している。

資料:中蓋のあるキムチ保存容器

1.形態

中蓋を押してキムチを汁に浸らせることで、空気によるキムチの酸敗を防止できるキムチ専用の保存容器

「中蓋のない容器」

「中蓋のある容器」

2.構成および機能

キムチ保存容器の中に中蓋があるもので、中蓋に多数の空気排出口があるため、中蓋を押してキムチを汁に浸からせる際に空気がすぐ排出される。また、中蓋の縁が上向きに巻き上がる軟らかい材質を採用しているため、中蓋を容器の内壁に密着させたままスムーズに押すことができる。

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