知的財産ニュース 特許審判院、エアフライヤー(airfryer)の独占的権利を否認

2014年6月13日
出所: 韓国特許庁

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特許審判院は、「airfryer」商標出願が拒絶決定されたことに対しフィリップスが不服として提起した審判において、「何者でも使用できる商標」という理由により、請求を棄却する旨の審決を下したと12日に発表した。

家電、医療機器、照明の専門メーカーフィリップスは、エアストーム(air storm)技術を適用し開発した「ノンフライヤー」製品に「エアフライヤー(airfryer)」という商品名をつけ、2011年7月から発売し始めた。その後、2012年1月に同製品の商標を出願したが、2013年5月に特許庁審査局から拒絶決定を受けた。

「エアフライヤー」は、油を一切使わず、材料そのものにある油で揚げ物をつくれる製品だが、発売初年度(2011年)の売上げ15億ウォンから翌年(2012年)には460億ウォンに急成長した。健康とダイエットに対し消費者の関心が高まっていることを踏まえ、今後の成長可能性も大きい製品として市場で注目されている。

現在、韓国における電気フライヤー市場は、フィリップスが業界1位となっているなか、ハンキョンヒ生活科学、サムスン電子、東部デウ、LG電子、東洋マジックなどの韓国メーカーとミュレックス(ドイツ)、ガイタイナー(ドイツ)などがしのぎを削る格好だ。

関連業界では、「油を使わずさっぱりした揚げ物が出来上がる」というコンセプトの類似する製品を相次いで発売し、「国産vs輸入品」の競争が激しさを増している。こうした状況で、この製品の特徴を簡単で直感的に伝えられる「airfryer」という名称を商標登録して独占して使用できれば、有利な立場を先占できるということは想像に難しいものではない。

今回の事件で争点になったのは、「airfryer」という名称を特定の企業が商標として独占的に使用できる用語であるか、それとも、この製品の生産・販売者であれば誰でも自社の商品を説明し販売するために使用できる用語であるかの判断だった。

審判1部のキム・テマン審判長は、今回の審決理由について、第一に、「airfryer」名称そのものが「油を使わず空気であげるフライヤー」として自然に認識され、「電気式フライヤー」の特徴や調理方法を直接表しており、

商標法第6条第1項第3号では、商品の産地・品質・効能・加工方法などを普通に使用する方法により表示した標章のみに成されている商標は、登録を受けられないこととされている。

第二に、この名称をつけた類似する機能のフライヤー製品を多数の競合会社が生産・販売しているため、特定企業に独占的な商標権を付与することは望ましくないということ、

※商標法第6条第11項第7号では、多数人が現実的に使用していて、識別力が認められないか、公益上からみて特定人に独占させることが適当ではないと認められる商標も登録を受けられないこととされている。

第三に、フィリップスが製品発売後、様々な広報手段を用いて商標及び製品の認知度を高めた結果、韓国の電気式フライヤー市場でシェア1位を獲得し、一般消費者は「airfryer」を自社の商標と認識すると主張しているが、フィリップスの製品が発売後、5ヶ月もたたないうちに、同じ名前をつけた競合会社の製品が発売され、インターネットやメディアも「airfryer」名称を電気式フライヤーの機能、または方式を一般的に称する名前として使っていて、一般需要者がこの名称をフィリップスの商標として認識していると見なせないということを理由としてあげた。

※商標法第6条第2項においては、第6条第1項第3号、第7号に該当するとしても、商標出願前に商標を使用した結果、需要者の間でその商標が誰の業務に関る商品を表示するか、顕著に認識されている商標は、登録を受けられないこととされている。

今回の特許審判院の決定は、「エアフライヤー」名称をフィリップスだけが独占的に使える商標ではなく、競合会社であっても誰でも使える商標であると判断したといえる。

一方、特許審判院の今回の審決は、審決の謄本を送達された日から30日以内にフィリップスが特許法院に訴訟を提起しなければ確定となる。

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