知的財産ニュース 特許庁、5,000億ウォン規模の創意資本の基盤作りへ

2014年8月25日
出所: 電子新聞

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産業通商資源部が来年まで計5,000億ウォン規模で進行中の「創意資本基盤造成事業」を特許庁に移管する。

25日、産業部と特許庁によると、創意資本基盤造成事業と事業の運用会社であるインテレクチュアル・ディスカバリー(ID)に対する運営権が産業部から特許庁に移管される。

これは、事業効率性の観点から考慮すると、知的財産(IP)政策分野において専門性を備えた特許庁に移管した方が望ましいという産業部の判断によるものだ。これで当初の計画上、来年中に終了する予定だった同事業は、特許庁が締めくくりを担当することになった。

創意資本基盤造成事業は、国内企業が海外に進出する際、外国企業の特許攻勢に戦略的な対応ができるよう、IP基盤の構築およびIPビジネスの活性化に向けて2001年に立ち上げられた。事業運用機関として設立されたIDは、政府出捐金と民間資金を集めて創意資本資金を結成し、企業・大学・出捐研などが保有している特許権を買収して需要企業に提供している。

同事業の主管部署の移管は早くから予見されていた。特許庁が昨年下半期、特許手数料として受け取った超過収益230億ウォンを同事業に出捐することを決めたことで、産業部が同事業から離れる手順ではないかという見方が支配的だった。

当時の推測が現実化したことで、特許庁の動きも加速している。まだ産業部との業務調整が進んでいるところだが、実質的な事業運営の主体になり、新しい政策方向を模索している。

創意資本基盤造成事業は開始から3年を経過しているが、目に見える成果は出していない。2011年から今年上半期まで、政府予算約1,200億ウォンと民間資金2,450億ウォンなど、計3,653億ウォンが投じられたものの、収益は微々たるものだ。事業運用主体であるIDがこれまでの3年間得られた収益は25億ウォン余りに過ぎない。2011年の技術料はほとんどただに等しかった。2011年と2012年にはそれぞれ63億ウォンと79億ウォンの当期純損失を計上した。

特許庁は事業を移管する課程において、IDが特許買収のみに重きを置いた挙句、多様な収益創出策が見出せなかったと判断し、早期に「中長期発展計画」の樹立にとりかかった。 焦点は、これまで議論の中心だった事業収益性を改善し、持続可能な事業を可能とすることに当てられている。ただし、公共性の濃い事業であるだけに、国内企業を保護する役割を果たしつつ、収益もともに創出するように折衷を図るという計画だ。

実際、IDは2011年に1,594件、2012年に2,100件、2013年に733件など、4,427件にも上るIPを買収したが、収益創出は振るわなかった。特許庁は担当チームを立ち上げ、これまでIDが行った投資およびIP買収などの現況を綿密に調べ、外部受注も活用して今後の4~5カ年中長期発展計画を立てる予定だ。これは、同事業が来年に終了される予定だとはいえ、巨大資金が投入された事業であるだけに軟着陸に向けた持続的な管理が必要だとの立場が反映されたものである。

基本的にはすでに買収した豊富なIPを基にライセンスを活性化し、技術移転の取引仲介、IPコンサルティング、標準特許の開発など、様々な収益創出モデルを模索する方針だ。また、台湾、香港など海外政府で造成したIP事例も積極的に検討し、事業の発展方案を導き出すとの計画だ。事業の最終年である2015年度の政府予算としては、130億ウォンを策定し、企画財政部に提出している。

特許庁産業財産振興課のグ・ヨンミン課長は「事業が成功裏に定着するために公共性と収益性の両方を踏まえた様々な中長期発展計画を年末まで立てる予定だ」と述べた。

創意資本資金造成の現況および今後の計画(単位:億ウォン)

区分

2011

2012

2013

2014

2015

合計

政府

333

333

279

227.5

327.5

1,500

民間

497

1,057

850

677

149

3,500

合計

830

1,390

1,129

904.5

746.5

5,000

IP買収件数(2014年6月末ベース)(単位:件)

区分

2011

2012

2013

2014上半期

合計

2011.10~2012.7

2012.8~2013.5

2013.6~2014.3

2014.4~6

買収件数

1,594

2,100

733

2

4,429

シン・ソンミ記者

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