知的財産ニュース 職務発明補償制度を導入した企業はR&D成果を収め

2014年2月20日
出所: 韓国特許庁

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企業があらかじめ従業員の職務発明に対する権利承継と補償の規定を定め、それを運営したら、本当に企業の技術競争力が向上するのだろうか。職務発明に対する補償金の支払いで会社の費用負担ばかりが増加したり、従業員の期待が無駄に高まったりするのではないか。

韓国特許庁は、自国企業を対象に、知的財産活動に関する実態調査を行った結果、職務発明補償制度を導入・運営することが企業のR&D成果にプラスになっていると発表した。

今回の調査は、「2013年知的財産活動に関する実態調査※」の一環として行われたもので、職務発明補償制度が企業のR&D活動や新技術の開発、優秀商品の開発などを通じて企業の技術競争力強化にどのように貢献しているかの実績を実証的に検証した。

※知識財産活動の実態調査:韓国知識財産研究院が毎年、国内企業などの知的財産の活動現状を総合的に調査

この調査によると、職務発明補償制度を導入し活用している企業の場合、保有している職務発明を活用して政府や民間R&Dを行った割合が29.4%で、未導入企業の17.7%より高く、NET(New Excellent Technology)やNEP(New Excellent Product)、世界一流商品など各種の認証獲得の割合も16.8%で、未導入企業の12.0%より高いと調査された。

出願件数及び登録件数、国別の審判請求件数など、知的財産関連の基礎統計の活用においても、職務発明補償制度の導入企業89.0%が基礎統計を活用していると応答し、未導入企業の61.0%より知的財産関連の資料を積極的に検索、利用していることを示した。

また、特許出願の規模と職務発明補償制度の導入との相関性を分析した結果、特許出願件数が5件以上の企業の48.7%、10件以上56.6%、20件以上の69.1%が職務発明補償制度を導入していると調査され、同制度が優秀な発明の創出に大きく貢献していることが伺えた。

実際に、2013年の職務発明補償制度運営の優秀事例に選定された企業の場合は、職務発明補償制度を導入・運営した結果、特許出願の増加や各種の認証獲得、売上高の増加などの成果を収めたという。

一方、韓国特許庁では、自国企業が職務発明補償制度を容易かつ迅速に導入できるよう、職務発明関連の説明会及びコンサルティング実施、職務発明補償規定の標準モデルの配布、優秀企業の認証及び優秀事例の公募などを通じて支援を行っている。

産業財産振興課のク・ヨンミン課長は、「職務発明補償制度が企業の知的財産創出および活用に及ぼす影響が大きいと判断され、わが庁は、国内企業の職務発明補償制度の導入率を2017年まで70%に高める目標を掲げ、より効果的な支援を行う計画だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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