知的財産ニュース 外国人の商標出願はマドリッド出願が主流に

2014年6月25日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁(長官:キム・ヨンミン)によると、マドリッドシステム※を導入した2003年の当時、1,548件に過ぎなかった国際商標の出願規模が2011年度に初めて1万件を突破した。現在(2014年3月末基準)まで外国人がマドリッドシステムを通じて出願し、国内審査を受けた累積件数が計9万件に上るとのことだ。

※海外商標出願は、現地の代理人(弁理士)を通じて、各国に直接出願する従来の方法と、マドリッド協定議定書(Madrid Protocol)に加盟した国を対象に、一回の手続きで複数国を指定して出願するマドリッド国際商標システムによる方法がある。韓国は2003年1月10日に加盟した。2014年3月現在、92カ国が加盟している。

とりわけ、昨年はマドリッドシステムを利用した出願件数が11,550件(48.3%)、韓国特許庁に直接出願した件数が12,350件(51.7%)と、その割合にさほど開きがないことから、今後はマドリッドシステムによる商標出願が主流になると見られている。

外国人がマドリッドシステムを積極的に活用する理由は、商標権の獲得や維持・管理が当該国に直接出願する従来の方法より有利な点があるためだ。

一般的に海外で商標を出願するためには、商標を登録したい国ごとにその国の言語で作成した出願書類を手数料の支払いとともに出願するほか、商標権更新などの事後管理も当該国別の事情に合わせて行わなければならない。

しかし、マドリッドシステムでは、国際機構に一つの言語(英語、フランス語またはスペイン語)で出願書類を作成し、1回のみの出願で済む。名義変更や商標権更新なども同じく国際機構を通じて一括処理が可能なため、手間がかからない上、コスト削減もできる。

一方で、韓国企業はマドリッドシステムの利用に消極的だ。

世界知的所有権機関(WIPO)によると、2013年、主要国別のマドリッド国際出願のシェアは、欧州連合7,444件、米国6,084件、中国2,273件、日本1,845件であることに比べ、韓国は502件にとどまっている。

また、2009年から2013年までの間、韓国の企業別マドリッド国際出願件数は、現代自動車(73件)、サムスン電子(46件)、ソウル半導体(36件)、起亜自動車(10件)、韓国タイヤ―(10件)などで、大企業の利用率が高くなっている。

これに対して、特許庁関係者(商標デザイン審査局長パク・ソンジュン)は、「大企業のみならず、中小企業も海外市場でシェアを拡大していくためには、海外企業のように一足早くブランドを優先確保する戦略が求められる。海外で商標権を容易に獲得できるだけでなく、時間も節約しつつ、各国に散在している商標権を体系的かつ効率的に管理できるマドリッドシステムを積極的に活用する必要がある。」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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