知的財産ニュース 運転者の健康診断技術の特許出願が増加基調に

2014年4月23日
出所: 韓国特許庁

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運転者の体調異常を検知し、自動車を自動コントロールする「運転者の体調検知技術に関する特許出願」が増加しているという。

韓国特許庁によると、この技術に関する特許出願は2009年まで年4件前後と非常に少なかったが、その後急激に増加して2013年には8.5倍増の34件になった。出願人は、現代自動車が約18%、韓国電子通信研究院(ETRI)が約10%、現代モビスが約5%、サムスン電子が約4%の順となっている。

多出願人の順位には自動車メーカー以外に、韓国電子通信研究院やサムスン電子のような情報通信メーカーも含まれていて注目される。これは、運転者の体調検知技術もほかのスマート技術同様に、自動車と情報通信が融合する技術としての進化を示している。

運転者の体調検知技術は、運転者の体調の異常より発生し得る安全事故を事前に回避するための技術として、自動車のスマート化がロボットカーに向かう過程では必須の技術とされる。

この技術は、カメラ映像を分析する方法、センサー信号を分析する方法、またはそれを組み合わせる方法を通じて実現され、運行中にも運転者を邪魔せず正確な体調検知することが重要とされる。

運転者の体調検知のためにこれまでは、カメラ映像を通じて目の震え具合や視線を分析するか、ステアリングホイールに設置されたセンサーに手が触れるたびに脈拍数や体温などをチェックして検出していた。

最近では、カメラ映像を通じて運転者の表情も分析する技術が出願されており、無線の周波数を用いて運転者の呼吸や心拍信号を計る方法、心臓の血流拍出による運転手の微細な振るえをはかる方法、運転者が先方車両の尾灯の点滅を眺めるときの脳波の測定方法など、様々な非接続式の生体信号検知方法を活用した技術が出願されている。

運転者の体調検知の結果に応じて、室内の照明や温度の調節だけでなく、目的地までの経路を複数推薦し、運転者に深刻な異常兆候が現れた場合は、警告音を鳴らして車両を減速させる方法や、路肩や安全な位置に停車させる技術も出願されている。

特許庁の関係者は、「運転者の体調検知の技術が適用されたスマートカーが実際に発売されれば、スマート機器から分かるように、特許係争の発生が予想されるだけに、自動車メーカーは、事前にオリジナル技術を特許として権利化し、特許トラブルに備えなければならない」とアドバイスした。

資料1:最近10年間における運転者の健康診断技術の特許出願件数

図:最近10年間における運転者の健康診断技術の特許出願件数グラフ

年度

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

合計

出願件数

4

4

5

2

4

4

10

17

26

34

110

資料2:最近10年間における運転者の健康診断技術の特許出願人別の順位

出願人

出願件数

現代・起亜自動車株式会社

20 (18%)

韓国電子通信研究院(ETRI)

11 (10%)

現代モビス株式会社

6 (5%)

サムスン電子

4 (4%)

自動車部品研究院

3 (3%)

その他

66 (60%)

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