知的財産ニュース 中国のファッションブランドが韓国に上陸

2014年10月29日
出所: 韓国特許庁

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韓流ブームを受けて、中国観光客が大勢韓国を訪れている。明洞の有名デパートの洋服および化粧品コーナーは中国人で溢れており、中国観光客500万人の時代を実感することができる。中国人は、韓国商品を購入する一方で、地理的に隣接している韓国を有望市場として認識している。そのため、韓国内でも商標を大いに出願しているが、その中でも衣類(靴類を含む)に関する商標出願は、年々着実に増加している。

韓国特許庁がこの5年間(2009~2013)の中国人(台湾、香港を含む)による商標出願を商品別に分析した結果、電子・通信に関する商標(商品類第9類)が1,982件で最も多く、次いで衣類に関する商標(商品類第25類)が1,487件、化粧品に関する商標(商品類第3類)が511件の順となった。

そのうち、衣類に関する商標出願を年度別にみると、2009年に220件、2010年に263件、2011年に312件、2012年に293件、2013年は399件となっているが、2012年に少し減少したものの、2013年は前年に比べて大幅の増加を見せた。商標出願が増加する要因は、中国の豊富な労働力を背景に、地理的に近くて友好的な関係を築いている韓国の商品市場を攻略するためだと見られる。

中国人による商標は、「漢字、拼音、英語、ハングル、図形、またはこれらの融合商標」など様々な形で出願されている。その中でも漢字の場合は、繁体字より簡体字で出願する傾向が著しくなっている。衣類に関する標章の例としては、

などがある。

このように、中国人が韓国で出願する商標は、中国の簡体字で構成された商標がほとんどだが、韓国人の場合、併記する英文字(拼音)によって発音するしかないというハードルがある。韓流ブームと中国観光客の影響により、中国に対する韓国人の関心を反映するかのように簡体字の中国商標が実際の取引現場でも活用されている。

特許庁商標審査2課のパク・ウンヒ課長は、「中国人による衣類関連商標の出願が地道に増加しているのは、最近中国政府が本腰を入れて進めている知的財産権の強化戦略と安価な労働力を基に韓国の低価格市場を攻略するための一連の過程だと思われる。今後もこうした傾向は続くと予想されるため、韓国は技術革新による高付加価値の機能性衣類を持続的に開発し、対中輸出を一層強化していかなければならない」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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