知的財産ニュース 特許庁、造船海洋分野の特許競争力の強化支援策を発表

2014年10月14日
出所: 韓国特許庁

4753

特許庁が近頃厳しい状況に置かれている国内の造船業界を支援するため、造船海洋分野の特許競争力を強化する支援策について発表した。

国内の造船業界は、これまで世界トップの位置を維持してきたが、最近になって中国の躍進と日本の円安傾向などの影響を受けて今年上半期の受注量が大幅減少し、造船大手の営業利益が急減するなど困難が続いている。

このような造船海洋分野の危機を乗り越えるため、特許庁は造船大手、中小規模の機材・資材業者のみならず、大学など教育機関の特許競争力を強化する総合支援計画をまとめた。同計画は、支援対象の規模に合わせてプログラムを提供するという点で注目されている。

まず、造船大手の場合、中核・オリジナル特許の創出を誘導し、開発した技術を良質の特許として保護できるように支援する。そのため、特許庁は、造船海洋分野における「国家特許戦略の青写真構築事業」を推進し、今後R&Dを集中すべき造船海洋分野の10大優秀技術を選定し、今年末を目途に知的財産(IP)戦略技術ロードマップを構築している。また、計17件に上る造船海洋分野の政府R&D課題を対象に、特許動向調査および特許戦略支援事業を提供している。来年には同事業をさらに拡大し、R&D段階からIP中心の戦略を立てて運営できるように支援するとの方針だ。それとともに、来年度から「今年の造船海洋特許技術」を選定し、造船海洋分野の優秀発明者を褒賞する。

併せて、造船海洋分野を担当する特許審査官が直接R&D現場を訪れ、現場で必要とする特許相談および教育を実施し、高難度の特許出願については、発明者と審査官が予め審査について意見を交わす「予備審査」制度を適用して正確な審査および迅速な権利化を図るという。さらに、特許審査の過程において優秀な技術だと判断した場合、強力な権利が作られるように審査官が予め補正の方向を提示する「ポジティブ審査サービス」を拡大提供する。それと同時に、特許審査の精度を高めるため、特許審査官以外に民間専門家も審査に参加させる「特許審査クラウド・ソーシング(Crowd Sourcing)」を通じた特許協力の取り組みも強化するとの方針だ。

一方で、特許力量の不足で手を焼いている中小規模の造船および機材・資材業者の場合、特許創出に向けた基盤作りを支援することにした。経験不足により社内のIP専従組織作りに難航している造船会社を対象に特許庁の専門家が基礎相談と諮問を提供し、特許庁の「IPスター企業育成事業」への参加を呼びかけ、特許経営を支援する予定だ。

今回の総合支援計画には、韓国造船海洋分野の担い手になる人材を育成するプログラムも盛り込まれている。大韓造船学会と協力して全国の造船海洋専攻者を対象に「船上の特許クラス」を推進し、学生向けの特許教育と明細書作成コンテストなどのイベントを進めるほか、主要大学の造船海洋学科と特許庁の造船技術審査官をマッチングする「1人1課連携プログラム」を通じて、主要大学における特許教育も支援することにした。

特許庁のキム・ヨンミン庁長は「絶え間ない研究開発とそれによる技術革新だけが韓国の造船海洋業界に差し迫っている危機を乗り越えられるカギだ。特に21世紀の創造経済時代において、企業の特化を導く中核的な力量は、技術革新の結果をIPとしていかに保護し、活用するかにかかっている。特許庁は、今回の総合支援計画を通じて、韓国の造船海洋業界が未来の中核・オリジナル技術において競争優位を占めることで、世界トップの位置を維持していけるように最善を尽くして支援する予定だ」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195