知的財産ニュース 「第8回ソウル国際競争フォーラム」、パテントトロールに対応するためのルール作りに

2014年9月4日
出所: デジタルタイムズ

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韓国公正取引委員会が全方位の特許訴訟濫用で議論になっている特許不実施主体(NPE)に対応するための関連基準を策定する。4日、公正委は、いわゆる「パテントトロール」と呼ばれているNPEに対する国際的な共助が必要とされている中で、今年中を目処に知的財産権審査指針を改正し、問題となるNPEを見分けられる基準を策定する計画を明らかにした。

同日、公正委の主宰によりソウル市ソゴン洞のロッテホテルで開かれた「第8回ソウル国際競争フォーラム」に参加した韓・米・欧州の競争当局及び業界関係者は、NPEによる知的財産権の濫用を予防できる国際的な基準を設けるべきだと口を揃えた。

公正委のシン・ヨンソン事務処長は「NPEが特許を求める者にとって仲介の役割を果たし、アイデアの流動化に貢献するというポジティブな面もあるが、悪意のある訴訟による費用が消費者および企業に転嫁されるなどのネガティブな面が大きい。NPEによる知的財産権の濫用行為が法律に反するか否かを分野別に綿密な検討を行い、審査指針に反映する」と述べた。これは最初、初期企業と中小企業のアイデアを流動化させることで技術開発を促進させるために登場したNPEの権利濫用行為が徐々に乱暴になっているということを示唆している。

公正委によるとNPEが提起した特許侵害訴訟の件数は、2004年の235件から昨年3714件へとこの10年間で約3.5倍増加した。このうちサムスンとLGなど韓国企業が訴えられた件数も世界全体でそれぞれ2番目、10番目に多い。シン処長は、競争企業の営業を妨害する「海賊行為(Privateering)」の事例を取り上げ、「一つの企業がNPEを通じて自社の特許権利を過激に主張し、競争企業のビジネスを阻害するのはもちろん、市場に問題を起こすことで競争企業のコストを上昇させる行為が増えている」と説明した。

このような動きは、世界中に広がっている。米連邦取引委員会(FTC)モーリーン・オーハウゼン委員は、「未だNPEが企業の革新を阻害し、消費者の権益を侵害しているとの具体的な証拠が完全に解明されてはいない。ただし、ホワイトハウス、国会、FTCが一斉にパテントトロールの知的財産権侵害を防げるトロール・アクト(TROL act)などの対策を講じている」と述べた。

同フォーラムに参加したサムスン電子のカン・キジュン副社長とグーグルのアレン・ロ法律顧問も関連業界が巻き込まれているNPEの権限濫用ケースを紹介し、これをコントロールできるルールが必要だと強調した。カン副社長は「NPEの立場からすると訴訟を提起した後、訴訟が進まないとしても合意だけで金銭的利益を得られる一方、実際侵害された企業は反訴もできない。知的財産権侵害禁止命令要件に対する厳格な適用を通じて濫用を予防すべきだ」と主張した。

公正委のノ・デレ委員長は、開会のあいさつを通じて「世界中がグローバル特許戦争の最中にあるが、NPEによる知的財産権の濫用行為をコントロールできる一つにまとまった規則が足りない状況だ。今回のフォーラムを通じてNPEのポジティブ機能は活かしつつ、競争制限効果を最小化する方策を見出したい」と述べた。

ユ・グンイル記者

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